研究課題/領域番号 |
22K06700
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
鬼木 健太郎 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 准教授 (00613407)
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研究分担者 |
猿渡 淳二 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 教授 (30543409)
伯野 史彦 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (30282700)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | メタボリックメモリー / アミノ酸 / 糖尿病合併症 |
研究実績の概要 |
血糖・血圧・脂質の異常は“メタボリックメモリー”として、長年にわたり身体に記憶され、心血管疾患や腎機能低下、網膜症など、糖尿病合併症の発症と進展に関わる。しかし、メタボリックメモリーが生体内で引き起こす変化の詳細が明らかでない上、糖尿病合併症発症との関係を定量的に評価できておらず、その持続期間や個人差についても不明である。本研究では、メタボリックメモリーの定量的評価とそれを反映するバイオマーカーに着目し、糖尿病患者の健康寿命の延長と、新規治療ターゲットの同定を目指して臨床研究を実施する。本年度の研究成果を以下に示す。 1.これまでに、2型糖尿病患者の長期観察データを用いて、観察期間中における血糖の蓄積効果と変動効果を、申請者らが考案した“ダメージ蓄積モデル”や“変動蓄積モデル”を用いて、それぞれ定量化したが、本年度は”ダメージ蓄積モデル”について、経時的な重み付けを行うことで、より正確なメタボリックメモリーの定量化に成功した。 2・実臨床ではすべての患者で過去の臨床検査値を得ることはできないため、上記方法によるメタボリックメモリーの算出は困難な場合が多い。そこで、現状の臨床データからメタボリックメモリーを推算するために、メタボロミクスによる代謝物解析を実施した。糖尿病合併症の発症・進展に関わる代謝物として、アミノ酸が関わることがこれまでの報告から示唆されたことから、糖尿病患者200名の血清を用いて、ターゲットメタボロミクスとして、各種アミノ酸の測定を実施し、それを基にしたメタボリックメモリーの評価方法を新規に開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
糖尿病患者の臨床データの取得と検体採取は順調に進んでいる。 患者血清を用いた代謝物の測定も順調に進み、解析に着手できていることから、進捗に問題はない。
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今後の研究の推進方策 |
”ダメージ蓄積モデル”を用いたメタボリックメモリーの評価方法をより精密に実施するために、経時的な重み付けや高血糖状態の程度により推算方法を変化させることを試みる予定である。また、アミノ酸によるメタボリックメモリーの推算についてもより精度を向上させることを試みる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初使用を予定していた実験に関する試薬が別の予算で措置されたため次年度使用額が生じた。次年度使用額分はメタボローム解析の消耗品費として使用する。
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