研究課題/領域番号 |
22K06713
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研究機関 | 姫路獨協大学 |
研究代表者 |
寺田 一樹 姫路獨協大学, 薬学部, 准教授 (00724197)
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研究分担者 |
森 征慶 福岡大学, 薬学部, 助教 (00759251)
松本 太一 福岡大学, 薬学部, 講師 (80570803)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | シグマ受容体 / 神経新生 |
研究実績の概要 |
本研究では,神経新生作用を応用することで新たなうつ病治療薬を創出することを目的としている。我々は,これらの能力を発揮するための標的機構としてオーファン受容体のシグマ-2受容体 (σ2R) に着目した。σ2Rは,長年未知の受容体として位置付けられており,2017年にようやくクローニングされた新しい受容体である。現在までに,神経細胞に多く発現することなどは報告されているが,その機能のほとんどは明らかとなっていない。 そこで,本年度では,σ2Rの分子生物学的な解析を可能とするために,安定的にσ2Rを発現する培養細胞の作製を試みた。培養細胞として,株化細胞の中から神経細胞の分化や神経突起の伸長の解析に頻用されるSH-SY5Y細胞を採用した。当初は,ウイルスベクターを用いて作製を行ったが,その後,mock細胞においても複数のコロニーで神経突起の伸長率の低下などの形態変化が確認された。このことから,エピソーマルベクターを用いたクローニングを実施し,σ2Rの安定発現細胞を樹立した。現在までに,western blotおよび免疫染色によってσ2Rの過剰発現の確認を完了しており,今後,これらの細胞を用いた解析を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では,σ2Rの過剰発現細胞を作製し,分子生物学的手法による解析についても実施する予定であった。しかしながら,ウイルスベクターによる神経突起の伸展率に変化が見られたことから,これらは今後の研究の根幹に関わるため代替の手法を採用する必要があった。この影響により,若干の進捗の遅れが生じているが,あらかじめ想定していたことであり,研究遂行上大きな影響はないと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,さらに研究を推し進めるためにσ2Rの過剰発現細胞によるRNA-seq解析を実施し,σ2Rによる遺伝子発現変動を調査することとする。これにより,本受容体の影響を多岐にわたって評価することで受容体機能を速やかに解析することが可能になると考えられる。併せて,σ2Rのノックダウン細胞についても実施し,今後の評価に重要となる機構を絞り込む予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は,当初の計画よりも若干の進捗の遅れが生じたため,今年度使用額が少なくなった。このことから,次年度使用額が生じることとなったたが,前年度に不足した研究から推し進める計画のため,翌年度分と併せて使用する予定である。
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