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2023 年度 実施状況報告書

炎症誘発GABA神経系機能異常による精神機能変化におけるアストロサイトの関与

研究課題

研究課題/領域番号 22K06714
研究機関就実大学

研究代表者

北村 佳久  就実大学, 薬学部, 教授 (40423339)

研究分担者 浅沼 幹人  岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (00273970)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードLPS / 亜鉛 / 不安 / ミクログリア / 脳内炎症
研究実績の概要

精神疾患の発症には遺伝因子と環境因子がともにかかわる。主たる環境因子は疾患ごとに異なるが、社会的隔離、心理ストレス、妊娠中の感染に至るまで多岐にわたる。精神疾患における炎症関連分子の関与は古くから知られている。例えば、うつ病や統合失調症の末梢血中で TNF-αやIL-6 が高値を示すことが知られている。さらに、我々は臨床研究において手術後に発症する“せん妄”に着目し,せん妄促進因子の探索を行った結果,ベンゾジアゼピン(BZD)系睡眠導入剤の服用患者ではせん妄の発症リスクが高くなることを明らかにした。つまり、手術による術後炎症状態において薬物の薬理作用が変化することを報告しており、炎症状態における精神機能変化および薬効変化の解明は適正な薬物療法実施のため明らかにしていく必要がある。
これまで本研究では炎症惹起物質であるリポポリサッカライド(LPS)を腹腔内投与した全身炎症モデルマウスでは不安様症状を示すことを明らかにしている。
本年度はこの炎症状態における不安様症状およびその変化に対する亜鉛の有用性を検討した。その結果、炎症により血清中亜鉛濃度は有意に減少した。この不安様症状に対して亜鉛は改善作用を示した。一方、LPS投与により海馬の活性化ミクログリア数は有意に増加し、その増加に対して亜鉛は抑制作用を示した。
本研究より炎症にり惹起される不安様症状に対して亜鉛投与は発症予防または治療効果を示す可能性が考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は現在の所概ね順調に進展している。特に、亜鉛の炎症による不安様症状に対しての改善効果は現時点で報告はなく新知見である。本年度の結果は現在欧文誌に投稿中であり、本分野においてインパクトの高い報告と考えられる。

今後の研究の推進方策

最終年度はさらに炎症による不安様行動の発現機序をアストロサイトによる抗酸化、抗炎症作用の観点で明らかにしていく。さらに、亜鉛に作用機序に関してもGABA神経系との関与、メタロチオネインの関与、脳内亜鉛濃度の関与を含めて総合的に考えて行く。

次年度使用額が生じた理由

本年度は計画以上の成果を予算執行内で得ることができた。差額については主に国際学会(Neuroscience2024:米国シカゴ開催)の発表費用として使用する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] LPS経気道内投与による不安様症状およびミクログリア活性化に対する作用2023

    • 著者名/発表者名
      田中翔哉、出石恭久、吾郷拓磨、植田哲平、田坂祐一、徳永智典、宮崎育子、浅沼幹人、北村佳久
    • 学会等名
      第62回 日本薬学会・日本薬剤師会・日本病院薬剤師会 中国四国支部学術大会
  • [学会発表] LPS投与による不安様症状およびミクログリア活性化に対する亜鉛の効果2023

    • 著者名/発表者名
      田中翔哉、出石恭久、吾郷拓磨、植田哲平、田坂祐一、宮崎育子、浅沼幹人、北村佳久
    • 学会等名
      第7回日本精神薬学会総会・学術集会
  • [学会発表] 植田哲平、出石恭久、吾郷拓磨、田中翔哉、宮崎育子、浅沼幹人、北村佳久2023

    • 著者名/発表者名
      LPS投与による全身炎症により脳内5-HT2A受容体機能は亢進する
    • 学会等名
      第7回日本精神薬学会総会・学術集会

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公開日: 2024-12-25  

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