研究課題/領域番号 |
22K06717
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
田崎 嘉一 旭川医科大学, 大学病院, 教授 (60374807)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | パーキンソン病進行抑制薬 / meloxicam誘導体 / Akt / 細胞死抑制 |
研究実績の概要 |
パーキンソン病のドパミン神経細胞死抑制薬として経口摂取で有効なmeloxicam誘導体を慶応大学薬学部で合成してもらい、MPTP誘発のパーキンソン病モデル動物(病態モデル)で有効性を示した化合物のうち臨床開発候補化合物として2つの誘導体が挙げられていた。このうちのIY-104化合物について、さらに低用量でも有効性を示すかを検討したところ、1日1回1㎎/㎏(1日2回15日間投与)のこれまでより低い投与量で行動薬理学的指標の改善、中脳Tyrosine Hydroxylase(TH)量の改善を見出した。中脳Tyrosine Hydroxylase(TH)量は、黒質線条体ドパミン神経量を示す指標であり、神経毒MPTPによる神経細胞死を抑制していると考えられた。このモデルでの組織学的評価は現在進行中であり、動物モデルの作製と組織切片の作製までは完了しており、染色条件を検討中である。次に、候補化合物の副作用評価であるが、化合物の大量合成がまだ完了していないため、でき次第、提供していただき計画を実施する。一方、新規誘導体については、MPP+によるSH-SY5Y神経細胞死の抑制評価系で強い細胞死抑制活性が見られたものが2化合物見出した。それぞれについて50%阻害濃度を算出したところ、YK-140が2.46μM、YK-141が1.71μMであった。これらは、経口投与による脳内移行性を確認し、良好であれば病態モデルでの評価を行う予定である。作用機序については、Akt上流の候補分子の探索を行っており、可能性のある分子がいくつか上がってきている。今後の特許出願にも関連するため名称は記載を避けるが、その分子の阻害剤でmeloxicamの作用がキャンセル(阻害されて細胞死が起こる)されるものが見つかっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響で、しばしば部署内の関連職員が出勤できずにその業務をフォローするなどの事態が発生しており。やや研究する時間をとれないでいたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後の方針として、1.引き続き臨床開発候補化合物低用量での病態モデルでの有効性を生化学的、組織学的、行動薬理学的に検証する。2.新規合成化合物については、細胞系による細胞死抑制活性評価と脳内移行性試験(動物実験)ををこなう。3.メロキシカムの作用機序探索については、見出した分子周辺の分子の活性化を確認し作用機序解明を目指す。
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