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2022 年度 実施状況報告書

TDMによる睡眠薬適正使用推進と薬局での臨床応用を目指した基盤構築

研究課題

研究課題/領域番号 22K06722
研究機関鳥取大学

研究代表者

藤吉 正哉  鳥取大学, 医学部附属病院, 准教授 (50751921)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードTDM / LC/MS/MS / 個別適正化
研究実績の概要

メラトニン(MEL)は小児の入眠改善薬として用いられる概日リズム調節ホルモンであり、入眠改善薬の中では唯一の内因性化合物である。内因性化合物の精密定量には、測定対象物を除いたマトリックス(血漿、尿)の準備が必要であるが、準備が困難な場合が多い。また、MELの正常時血中濃度は低く、高感度定量が求められる。そこで、検出器として質量分析装置(MS)を用い、MELの安定同位体標識化合物(MEL-d4)を代替標準として利用した定量系構築を試みた。MEL-d4のMSスペクトルを確認したところ、重水素の転移もしくはプロトン脱離が示唆され、イオン化最適条件ではMELとピーク強度に違いが認められた。従って、MEL検出のCEを調整し、MELおよびMEL-d4のピーク強度を一致させ、検量線を作成することとした。また、別の安定同位標識化合物(MEL-d7)を内部標準として利用することで、マトリックス効果の影響を解消した。サンプルの濃縮操作なしの場合、定量下限は50 pg/mLであった。MELの正常時血中濃度は20 pg/mL以下であり、感度向上が必要であると判断した。オンライン固相抽出による試料濃縮を前処理に追加することで、定量下限は2 pg/mLまで改善した。感度の向上した方法で作成した検量線は、2~500 pg/mLの範囲で直線性を示した。構築した定量系を用いて、MELを服用していない入院患者33名のMEL血中濃度を測定した結果、血中濃度の中央値は7.08 pg/mL (IQR; 3.18-12.67 pg/mL)であり、実臨床でも血中濃度測定は可能であると判断した。順次、処方頻度の高い睡眠改善薬(レンボレキサント、スボレキサント、ラメルテオン、エスゾピクロン)の定量系構築を進めていく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画では、処方頻度の高い複数の睡眠改善薬の血中濃度測定系を確立する予定であったが、本年度はメラトニン(MEL)の測定系確立のみにとどまった。MELは睡眠改善薬のなかで唯一の内因性物質であり、血中濃度も低く、精密定量系の確立に時間を要したことが原因として考えられる。一方、倫理審査委員会からの承認を得た上で(22A089G)、入院患者のMEL血中濃度測定は前倒しで開始している。以上を総合的に判断し、2023年度以降の研究実施計画に変更はないことから、順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

まずは、定量系の確立していない睡眠改善薬(レンボレキサント、スボレキサント、ラメルテオン、エスゾピクロン)の定量系構築を進めていく。いずれも、内因性物質ではなく、定量系構築に問題はない。また、電子カルテ調査も進めていき、血中濃度と催眠効果の相関関係を明らかにしていく。また、薬局での適用を考慮し、自己採血試料を用いた血中濃度測定を可能にする方法論として、微量採血デバイスもしくは乾燥血液スポット用カードの利用を検討していく。

次年度使用額が生じた理由

2022年度は、予定に比べ定量系確立を試みた化合物が少なく消耗品購入が抑えられ、次年度使用が生じた。予定通り、定量系確立のための消耗品購入に使用する。

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公開日: 2023-12-25  

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