研究課題/領域番号 |
22K06727
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
松原 和夫 和歌山県立医科大学, 薬学部, 教授 (20127533)
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研究分担者 |
須野 学 和歌山県立医科大学, 薬学部, 教授 (20621189)
北野 雅之 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (50314571)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | トファシチニブ / JAK阻害薬 / 遺伝子変異 / 薬物体内動態 |
研究実績の概要 |
本研究では,JAK阻害薬トファシチニブの代謝酵素であるCYP3A4/5の遺伝子多型,CYP3A4 mRNA量の違いがトファシチニブ血中濃度変動を引き起こすという仮説を立て,薬物動態パラメーターと炎症抑制効果および副作用発現状況の関連を検討し,CYP3A4/5におけるgeneticsおよびepigeneticsに着目した新規投与プログラムの構築を目標とし,今年度は本研究で確立したトファシチニブおよび代謝物の血中濃度測定法の臨床応用について検討を行った。 和歌山県立医科大学附属病院においてトファシチニブ治療を開始した潰瘍性大腸炎患者4例を対象とし,血液サンプル(内服前,内服30分後,内服1時間後,内服2時間後,内服3時間後,内服4時間後)を本研究で確立したトファシチニブ濃度測定法を用いて測定し,濃度推移を観察した。血中IL-6濃度はELISA法を用いて測定した。本研究は介入を伴わない前向き観察研究(No. 3684)として行った。 本研究で確立したトファシチニブ血中濃度測定法は1-500 ng/mLの範囲で良好な直線性を示し,その検量線はy = 0.0038x + 0.0149(r = 0.999)であった。潰瘍性大腸炎の4症例を測定したところ,血中トラフ濃度は5.1 ± 4.1 ng/mL(平均値 ± 標準偏差)であった。IL-6濃度とトファシチニブ血中トラフ濃度は関連性を認めなかった。 今後,血中濃度解析とgenetic/epigenetic解析,炎症度解析の統合をすすめ,JAK阻害薬の薬物動態パラメーターと炎症抑制効果および副作用発現状況との関連について検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
JAK阻害薬の血中濃度測定においてヒト血漿中トファシチニブ,フィルゴチニブおよびそれらの代謝物のLC-MS/MSを用いた測定法を確立した。 Genetic変異解析においてTaqMan Probe法を用いてCYP3A5*3およびCYP3A4*16遺伝子型解析を進めている。血中IL-6濃度はELISA法を用いて測定を進めている。 臨床研究サンプルについて,4例を登録完了した。この4症例について上記のトファシチニブ血中濃度解析とgenetic解析,IL-6濃度測定を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
確立したヒト血漿中トファシチニブ,フィルゴチニブおよびそれらの代謝物のLC-MS/MS測定方法を用いた血中濃度測定とその解析をすすめる。Genetic変異解析においてTaqMan Probe法を用いて解析をすすめる。血中IL-6濃度はELISA法を用いて測定を進める。症例登録をすすめ,上記の血中濃度解析とgenetic/epigenetic解析,炎症度解析の統合をすすめる。それに加え,JAK阻害薬の薬物動態パラメーターと炎症抑制効果および副作用発現状況を統合的に解析をすすめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬をキャンペーン価格の利用により予定より安価に購入できたため,次年度使用が生じたが,次年度実施する解析などに必要な消耗品に充当する予定である。
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