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2023 年度 実施状況報告書

HLA-A*11:01に着目したサルファ剤による重症薬疹発症メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K06738
研究機関国立医薬品食品衛生研究所

研究代表者

中村 亮介  国立医薬品食品衛生研究所, 医薬安全科学部, 室長 (50333357)

研究分担者 青木 重樹  千葉大学, 大学院薬学研究院, 講師 (30728366)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード重症薬疹 / サルファ剤 / HLA-A*11:01 / HLA-B*57:01
研究実績の概要

今年度は、HLA-A*11:01のC末端にFLAGタグを導入した上、さらに細胞内酵素により自己切断される配列を介してβ2-microglobulinをつないだ融合タンパク質のcDNAを設計し、pcDNA3.1哺乳動物発現ベクターに挿入した。また、同様の設計のHLA-B*57:01の発現ベクターも調製した。
これらのHLA発現ベクターを、子宮頸がん細胞株(HeLa)またはシトクロムP450酵素類の発現を強化したヒト肝がん細胞株(TC-HepG2)に発現させた。さらに、HLA-B*57:01発現細胞にはアバカビルを、HLA-A*11:01発現細胞にはスルファメトキサゾールをそれぞれ24時間処理し、細胞を破砕、ライセートからHLAタンパク質を単離した。この画分を酢酸処理し、HLA結合ペプチドを遊離させ、逆相カラムにより精製後、Vanquish neoナノHPLCシステムに連結したQ Exactive HF Orbitrap質量分析計を用いてMS/MS測定を行った。
アバカビルを暴露したHeLa細胞においては、既報で知られている通り、HLA-B*57:01結合ペプチドのうちC末端側の使用アミノ酸の頻度が芳香族アミノ酸から脂肪族アミノ酸へと有意に変化した。また、提示されるペプチドの大半は細胞質に存在することが知られているタンパク質に由来していた。このことから、本手法の妥当性と信頼性が示された。
最後に、スルファメトキサゾールで暴露したTC-HepG2細胞のHLA-A*11:01結合ペプチドの解析を行った。同ペプチドも、細胞質タンパク質に由来するほか、N末端から2番目およびC末端の位置におけるアミノ酸使用頻度は既報の通りで、信頼できる測定結果が得られた。しかし、暴露の有無による特定の位置のアミノ酸使用頻度への有意な影響は観察されなかったため、最終年度は暴露条件をさらに検討する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

HLA発現系およびそのペプチド解析系が構築でき、順調に進んでいる。

今後の研究の推進方策

研究実績の概要で述べた通り、HLA-A*11:01の結合ペプチドを解析したところ、現在の暴露条件ではアミノ酸使用頻度への有意な影響は認められなかった。暴露するサルファ剤の種類や濃度等を検討し、本当にアミノ酸変化が起こらないのかどうか、検討を重ねる。

次年度使用額が生じた理由

作成したHLA-A*11:01安定発現株のHLAタンパク質の発現量が想定よりはるかに低く、そのためベクターの再設計や発現系の調整に時間を要した。これにより、今年度中に行うべき実験のいくつかが次年度に持ち越すこととなったため、物品費を中心に未使用額が発生した。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] サルファ剤による重症薬疹と関連するHLA-A*11:01の提示ペプチド解析系の構築に関する研究2024

    • 著者名/発表者名
      伊藤 蒼、中村亮介、荒川憲昭、橋本由弥、福井優也、花尻瑠理、斎藤嘉朗
    • 学会等名
      日本薬学会第144年会

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公開日: 2024-12-25  

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