研究課題/領域番号 |
22K06741
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
横大路 智治 広島大学, 医系科学研究科(薬), 准教授 (70389120)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 食物アレルギー / 小腸上皮由来サイトカイン / 感作 / 消化管障害 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、小腸を傷害する要因として、薬剤と運動負荷に着目し、小腸上皮由来サイトカインの産生に伴う感作の亢進を立証することで、小腸の傷害が感作を亢進させる機序を解明することである。本年度は、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘発消化管障害ラットモデルを作製し、DSSが小腸上皮由来サイトカインの産生を亢進するのか、小腸の傷害が惹起された場合に食物抗原である卵白アルブミン(OVA)の感作が亢進するのかを解析した。 食物抗原の感作亢進を評価する際に用いるDSS誘発消化管障害ラットモデルを作製することを目的に、Brown Norwayラットに対して0.5~1.0%のDSSを飲水投与し、経時的に体重や糞便の性状を観察するとともに、消化管の傷害を組織学的に評価した。その結果、体重の変化については、通常水投与群とDSS投与群で有意な差は認められなかった。一方、糞便の性状については、DSSの濃度依存的に軟便や血液を含む糞便の割合が増加した。また、実験開始8週目に消化管大腸近位部を採取し、組織学的に評価を行った結果、DSS投与群で上皮細胞の剥離や杯細胞の減少が認められた。さらに、1%DSS投与群では、投与開始6週目と8週目で血漿TSLP濃度が通常水投与群よりも上昇傾向を示した。以上の結果から、1%DSSを飲水投与することで、食物抗原の感作亢進を評価するためのDSS誘発消化管障害ラットモデルを作製することができた。 次に、通常飲水ラットとDSS誘発消化管ラットに対して、OVAを複数回腹腔内感作させた。その結果、感作開始6週目でDSS投与群の血漿中OVA特異IgE抗体価は、通常飲水群よりも上昇傾向を示した。以上の結果は、DSS投与時には消化管の傷害が惹起され、上皮由来サイトカインであるTSLPの産生が上昇すること、OVAの感作が助長される可能性があることを示唆するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
デキストラン硫酸ナトリウムの飲水処置により、消化管障害が惹起されること、食物抗原の感作が助長される傾向を示すことを確認することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
現在、TSLP以外の上皮由来サイトカインであるIL-33やIL-25の定量を試みている。血漿中のIL-33の定量が困難な場合、消化管組織中でのIL-33の変動をELISA法で解析する方法や定量的PCRでの解析を試みる。また、通常飲水群での血漿中OVA特異IgE抗体価が高く、DSS投与群との差が明確でないため、感作条件を再度検討し、感作実験を実施する予定である。
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