研究課題/領域番号 |
22K06746
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
蓬田 伸 東北医科薬科大学, 薬学部, 准教授 (80230845)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | SecinH3 / ERMタンパク質 / NF-kB p65 / リン酸化 / Doxorubicin耐性細胞 |
研究実績の概要 |
SecinH3のP-糖タンパク質の排出抑制作用が、MDR1を高発現させたSf9細胞vesicleを用いて検討したところ、直接作用が認められなかったことから、事前に網羅的解析やmRNAなどの発現から、ERMタンパク質であるMoesinの可能性が出てきた。ERMタンパク質は、活性化となりP-gpと結合し、細胞膜上に繋ぎとめる働きがあることから、発現や機能に関係するとの報告がある。そこで、Moesinを含めたERMタンパク質のリン酸化に対する効果を検討した。その結果、Doxorubicin耐性細胞においてMoesinタンパク質の増加は見られたが、Ezrin、Radixinの発現の上昇は見られなかった。そして、SecinH3を処置してもこれらタンパク質の発現に影響を与えなかった。また、Doxorubicin耐性細胞において、Ezrin、RadixinおよびMoesinのリン酸化は見られなかった。そこで、Doxorubicinで耐性細胞を処置して、ERMタンパク質のリン酸化を検討したが、100nMのDoxorubicin処置においてはERMタンパク質のリン酸化は認められなかった。そこで、耐性細胞において、NF-kBp65やp44/42MAPK、p38MAPKなどの関与が報告されていることから、これらのタンパク質のリン酸化に対するSecinH3の効果を検討した。その結果、NF-kBp65のリン酸化に大きな変化は見られなかった。さらに、p44/42MAPKやp38MAPKは耐性細胞においてリン酸化は確認できなかった。さらに、Doxorubicinで処置してもこれらタンパク質のリン酸化は確認できなかった。これらの結果から、NF-kBp65やp44/42MAPK及びp38MAPKの関与はほとんどないと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ERMタンパク質およびNF-kB p65などのリン酸化を検討したが、思った結果が得られなかった。刺激剤の検討が必要なのかもしれない。また、ARF6の活性化のみならず、他のARFの活性化についても検討が必要であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
Doxorubicinを刺激剤として高濃度で検討したが、ある程度濃度を振って検討する必要がある。また、時間についても何点か検討し、Doxorubicinによる刺激について検討する。SecinH3に結合するタンパク質を検討するために、SecinH3をカルボキシル化しamino-modified nanobeadsが作れるかを検討する。作れれば、nanobeadsを使って結合タンパク質の解析を行う。また、SecinH3のターゲットはGEFであることから、ARFの活性化に影響を与えるかについて検討する。そして、ARF6やARF1、さらにはSecinH3に結合するタンパク質が同定できれば、それらタンパク質のノックダウン細胞を作成し、ARF及びSecinH3結合タンパク質がP-糖タンパク質の排出機構に関係するかを検討する。さらに、MDR1以外のMRP1、MRP2、MRP3、MRP4およびBCRPを高発現させたSf9細胞vesicleを用いて、他のABCトランスポーターへのSecinH3の影響を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
学事が忙しかったことと他の教室の先生方の共同研究のまとめに入ったためである。学会には参加したが、共同研究での内容のため、請求はしなかった。
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