研究課題/領域番号 |
22K06758
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
半田 修 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (90381970)
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研究分担者 |
塩谷 昭子 川崎医科大学, 医学部, 教授 (80275354)
内藤 裕二 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00305575)
井上 亮 摂南大学, 農学部, 教授 (70443926)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | クローン病 / 腸内細菌 / 酪酸産生菌 / 腸管局所サイトカイン |
研究実績の概要 |
原因不明難病であるCrohn病は、腸管粘膜の全層性炎症を生じ、著しく生活の質が低下するだけでなく、腸管狭窄合併症等により頻回の外科的手術を要する。そのため発症早期からの炎症のコントロールが非常に重要である。近年、新規の生物学的製剤が数種類登場したが、その選択基準が確立されていないことが問題となっている。 本研究ではCrohn病において、生物学的製剤投与前の粘膜関連細菌叢(Mucosa- associated/adherent Bacteria, MAM)と腸管粘膜内のサイトカインを測定し、生物学的製剤 有効性のバイオマーカーを確立することを目的としている。 内視鏡下にブラシで採取した回腸粘液はDNAを抽出後、16srRNA遺伝子のV3-4領域を増幅してIlumina社製Miseqによりシーケンス解析を実施した。QIIMEを用いて微生物の属レベルまでの同定を行い、細菌構成比、多様性について検討した。対象はCrohn病患者39例(F:M=14:25、平均年齢38.1歳)健常対照者23例(F:M=15:7平均年齢56.1歳)。Crohn病群は対照群と比較して菌の多様性はα、β共に有意に低下していた。Crohn病群内の比較では狭窄あり群ではCoprococcusが有意に低下しており、手術歴あり群ではDorea、Oscillospira、Coprococcusが有意に低下、Veillonellaが有意に増加していた。病型別の比較では小腸型<小腸大腸型<大腸型の順に有意にFaecalibacteriumが増加していた。この結果は第60回日本小腸学会学術集会で発表した。また、内容についてはRedox Report誌に投稿中である。 今後、MAMと同時採取している小腸局所粘膜のサイトカイン測定を行い、生物学的製剤投与が有効であった群と無効であった群との群間比較を行い、効果予測に役立てたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
MAMの解析については予定通りに進んでいるが、腸管粘膜生検検体を用いたサイトカイン測定については、検体が極小でサイトカインレベルが微量であるため、非常に大きな結果のばらつきが見られた。mRNAレベルでは比較的安定した結果が見られると報告されており、再度症例をエントリーし検体を採取し直しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
MAMの解析については予定通り、症例数を増加させてより精度の高い結果を目指す。 腸管粘膜生検検体を用いたサイトカイン測定については、生検検体が極小であり、1個の検体で複数種の解析を行う事ができないことより、再度新たに症例をエントリーし検体採取しているところである。腸管粘膜生検検体のサイトカイン測定についてはmRNAレベルでは安定した結果が得られると報告されており、タンパクレベルからmRNAレベルの解析に切り替えて推進する予定である。
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