研究課題/領域番号 |
22K06773
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
堺 陽子 和歌山県立医科大学, 薬学部, 助教 (50723079)
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研究分担者 |
松永 民秀 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 教授 (40209581)
長田 茂宏 和歌山県立医科大学, 薬学部, 教授 (40263305)
岩尾 岳洋 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 准教授 (50581740)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | MPS / 毛細胆管 / 胆汁うっ滞肝毒性 / トランスポーター / 灌流 |
研究実績の概要 |
本研究では、デバイスを使用し、ヒトiPS細胞由来小腸上皮細胞およびヒトiPS細胞由来肝細胞を用いた薬剤性胆汁鬱滞型肝毒性評価系の開発を行い、毒性評価系への応用を可能にすることを目的とする。これまでに申請者は、静置条件下かつ肝細胞単体での評価系の開発を行い、生体内を模倣した正確な予測を行うには限界があると感じていた。そこで、microphysiological system(MPS)技術の一環として、灌流型小腸-肝臓2臓器連結デバイス(デバイス)を開発した。また、ヒトiPS細胞から毛細胆管を形成した肝細胞への分化誘導法を確立している。 まず、デバイスを用いて、ヒトiPS細胞から毛細胆管形成能のある肝細胞への分化誘導を行ったが、分化途中で細胞が剥がれる現象が認められたので、デバイス上に用いる肝細胞としてヒトiPS細胞由来肝細胞の選択は断念した。そこで、PXBマウスから分離された新鮮ヒト肝細胞であるPXB細胞をデバイス上で培養したところ、14日間の培養を可能にし、毛細胆管の形成が認められた。静置および灌流によるPXB細胞を用いた胆汁うっ滞肝毒性を評価において、灌流条件下、胆汁うっ滞肝毒性を引き起こすポジティブコントロールは時間依存的なLDHの増加が認められず、評価系の確立が今後の課題となった。また、ロットの異なった数種のヒト凍結肝細胞においても、申請者が見出した培養法(Z-VAD-FMKおよびRevita含有RM-101)により短期間での毛細胆管の形成を可能にし、デバイス上において同様の形態を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
デバイスを用いたヒトiPS細胞から毛細胆管形成能のある肝細胞への分化誘導が行えなかったため、他の肝細胞の検討が必要になったため。
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今後の研究の推進方策 |
デバイスを使用したPXB細胞による胆汁うっ滞肝毒性の評価において、灌流条件下、胆汁うっ滞肝毒性を引き起こすポジティブコントロールは時間依存的なLDHの増加が認められなかったため、評価系を確立に向けた検討が必要である。そのため、容易に扱えるNTCP-HepG2-C4細胞を用いて、デバイスを使用し、灌流した場合における胆汁酸添加濃度、灌流速度などを検討しなければならない。 また、用いる肝細胞においては、短期間で毛細胆管形成能を確立する培養法(Z-VAD-FMKおよびRevita含有RM-101)によるヒト凍結肝細胞が適していると考えられた。 したがって、デバイスを使用した灌流による胆汁うっ滞肝毒性評価法が決まれば、ヒト凍結肝細胞を用いて胆汁うっ滞肝毒性評価系の開発を行う。そして、現時点では機能が高いと知られているヒトiPS細胞由来小腸上皮細胞(富士フィルム)を加え、肝細胞のみでの胆汁うっ滞肝毒性評価系との相違点を見出し、小腸細胞の影響を考慮した胆汁うっ滞肝毒性評価系の確立を目指す。
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