研究課題/領域番号 |
22K06778
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研究機関 | 武蔵野大学 |
研究代表者 |
工藤 敏之 武蔵野大学, 薬学部, 講師 (10584815)
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研究分担者 |
高橋 秀依 東京理科大学, 薬学部薬学科, 教授 (10266348)
深水 啓朗 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (20366628)
山岸 喜彰 武蔵野大学, 薬学部, 助教 (30805255)
伊藤 清美 武蔵野大学, 薬学部, 教授 (60232435)
鈴木 亮 帝京大学, 薬学部, 教授 (90384784)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | メンケス病 / 銅錯体 / 銅依存性酵素 |
研究実績の概要 |
メンケス病は、銅輸送タンパク質ATP7Aの遺伝子異常により銅の吸収および組織移行が低下するため、中枢神経障害など銅欠乏に由来する重篤な症状を呈し、多くが幼児期に死亡する希少疾患である。本研究では、メンケス病に対して有効な化合物を新規に合成し、その効果を評価した後、製剤的な工夫により使用しやすい治療薬とすることを目的としている。 今年度は、新規に合成した銅錯体の有効性を評価する目的で、銅錯体をメンケス病モデル動物であるマクラマウスに投与し、銅依存性酵素であるドパミン-β-ヒドロキシラーゼ (DBH) の脳内における活性を評価した。 マクラマウスと対照動物であるC3H/HeNCrlマウス (いずれも雄性) に新規銅錯体あるいは溶媒を1日1回3日間反復静脈内投与し、最終投与1時間後に大脳皮質を採取した。大脳皮質左半分に精製水を加えてホモジナイズし、アセトニトリルにより除タンパク処理後、DBHの基質ドパミンと代謝物ノルエピネフリンをLC-MS/MSにより定量した。 脳内のドパミン濃度は、いずれのマウスにおいても同程度であった。ノルエピネフリン濃度およびノルエピネフリン/ドパミン濃度比は、対照マウスの溶媒投与群と比較してマクラマウスの溶媒投与群では有意に低く、マクラマウスの溶媒投与群と錯体投与群では同程度であった。以上より、本銅錯体の投与によりマクラマウスのDBH活性に改善は認められないことが示唆された。今後もさらに新たに銅錯体を合成し、効果および体内動態の評価を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
一時よりは緩和されたものの、新型コロナウイルス感染拡大防止のための配慮として研究規模の縮小が続いており、一部の実験を延期せざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
新規化合物の透過性についてin vitroでのスクリーニング系の構築し、脳内DBH活性の評価を行う他、シトクロムcオキシダーゼ (DBHとは別の銅依存性酵素) の評価系の構築を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
一部の実験が延期されたため、次年度使用額が生じた。次年度も同様に消耗品の購入に充てる予定である。
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