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2023 年度 実施状況報告書

ランゲルハンス細胞および皮膚常在菌の同時制御による重症アトピー性皮膚炎治療の提案

研究課題

研究課題/領域番号 22K06779
研究機関明治薬科大学

研究代表者

松井 勝彦  明治薬科大学, 薬学部, 教授 (20257140)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードアトピー性皮膚炎 / ランゲルハンス細胞 / 黄色ブドウ球菌 / ベタメタゾン / ジョサマイシン / テトラサイクリン / 表皮ブドウ球菌 / Th2免疫応答
研究実績の概要

ジョサマイシンおよびドキシサイクリンは、アトピー性皮膚炎(AD)患者の皮膚病変部に常在する黄色ブドウ球菌の排除に加えて、表皮に局在するランゲルハンス細胞(LCs)の抗原提示能を制御する。本研究では、これらの抗生物質とステロイド薬のベタメタゾンを併用した外用療法に、皮膚常在菌としての表皮ブドウ球菌の皮膚移植を組み合わせることで、ステロイド薬単独での治療に抵抗性を示す重症ADの根治を目指した新たな治療戦略を臨床サイドに提案することを目的とした。
令和4年度の研究により、ステロイド薬単独ではコントロールできないほどの重症ADに対して、ベタメタゾンとジョサマイシンの2剤併用療法が、ベタメタゾンとドキシサイクリンの2剤併用療法よりも優れた治療効果を発揮し、さらに、そこに表皮ブドウ球菌移植を組み入れることでADの根治を期待できる可能性が示された。その結果を踏まえて、令和5年度は、ベタメタゾンとジョサマイシンの2剤併用療法から表皮ブドウ球菌移植への切り替えのタイミング、治療期間、移植する菌量、移植期間などについて詳細に検討した。その結果、2剤併用療法で2週間の治療を施し、その後、皮膚病変部に対して表皮ブドウ球菌移植を1 x 106 cells /cm2 skinの割合で行った時に最も優れた治療効果を示した。なお、菌移植は基本的に毎日行い、これを1週間継続することで、2剤併用療法から離脱することが可能となった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定していた令和5年度の検討事項として、2剤併用療法から表皮ブドウ球菌移植への切り替えのタイミング、治療期間、移植する菌量等についてすべて明らかにすることができた。また、その治療効果についても期待していた通りの結果となったため、本研究はおおむね順調に進展しているものと判断した。

今後の研究の推進方策

重症AD様皮膚炎症に対して確立した治療法の薬理を生体内での黄色ブドウ球菌の制御状態、表皮ブドウ球菌の定着状態、Th1/Th2細胞分化阻害の程度、局所的Th1/Th2免疫応答の程度、血中IgE濃度、リンパ球ポピュレーションの変化に関連付けて解明していく予定である。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Combination therapy with betamethasone and josamycin demonstrates superior therapeutic efficacy in a NC/Nga mouse model of atopic dermatitis2023

    • 著者名/発表者名
      Matsui K, Muranaka M, Yamaguchi T and Maeda M
    • 雑誌名

      Biol. Pharm. Bull.

      巻: 46 ページ: 693-699

    • DOI

      10.1248/bpb.b22-00781

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] アトピー性皮膚炎に対するリンデロ-V軟膏およびジョサマイシン軟膏の併用効果2023

    • 著者名/発表者名
      松井勝彦
    • 雑誌名

      アレルギーの臨床

      巻: 43 ページ: 459-463

    • 査読あり
  • [学会発表] Influence of the Th1 cytokine environment on CCL5 production from Langerhans cells2024

    • 著者名/発表者名
      松井勝彦
    • 学会等名
      第52回 日本免疫学会学術集会(千葉)
  • [学会発表] NC/Ngaマウスのアトピー性皮膚炎様皮膚病変に対するベタメタゾンおよびジョサマイシンの併用効果2024

    • 著者名/発表者名
      松井勝彦、村中円香、山口徒佳、前田真奈美
    • 学会等名
      日本薬学会第144年会(横浜)
  • [学会発表] 皮膚定着黄色ブドウ球菌とランゲルハンス細胞を同時標的にしたアトピー性皮膚炎治療の提案2024

    • 著者名/発表者名
      首藤由衣、高久予理子、小林真帆果、松井勝彦
    • 学会等名
      日本薬学会第144年会(横浜)
  • [学会発表] 表皮ブドウ球菌を用いたアトピー性皮膚炎の制御について2024

    • 著者名/発表者名
      花井大晟、高久予理子、頼政圭杜、川口駿弥、松井勝彦
    • 学会等名
      日本薬学会第144年会(横浜)
  • [学会発表] NC/Ngaマウスのアトピー性皮膚炎様皮膚病変に対するジョサマイシン含有リンデロン-V軟膏の治療効果2024

    • 著者名/発表者名
      飯野桃子、岡元星英良、河津日向子、田中千智、山下沙也奈、横山瑠菜、米山絵里奈、松井勝彦
    • 学会等名
      日本薬学会第144年会(横浜)
  • [学会発表] アトピー性皮膚炎に対するジョサマイシン含有リンデロン-V軟膏および表皮ブドウ球菌移植の併用効果2024

    • 著者名/発表者名
      藤野友輔、花井大晟、飯野桃子、首藤由衣、松井勝彦
    • 学会等名
      日本薬学会第144年会(横浜)
  • [備考] 明治薬科大学/研究/研究室 教授:松井 勝彦 (マツイ カツヒコ)

    • URL

      https://www.my-pharm.ac.jp/education/kdb/kyoin/kyoin_43.html

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公開日: 2024-12-25  

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