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2023 年度 実施状況報告書

炎症が惹起する病的胃腺リモデリングの分子実態解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K06789
研究機関奈良先端科学技術大学院大学

研究代表者

高田 仁実  奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (80641068)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード胃潰瘍 / 萎縮性胃炎 / 幹細胞 / 再生 / オルガノイド
研究実績の概要

今年度は胃潰瘍モデルマウスを作製し、H&E染色と抗体染色から潰瘍形成から再生に至るまでの経時変化を組織学的に解析した。炎症の誘導から3日後には大量の免疫細胞の浸潤と白苔の形成が観察され、7日後には白苔の周辺部で再上皮化や間葉組織の再構成が開始し、2週から3週後には白苔が完全に消失して白色瘢痕が形成されて胃腺が再生する様子が観察された。再生した胃腺では、胃腺の胎児化、胃酸分泌細胞や消化酵素分泌細胞の消失、頸部粘液細胞の増加が観察され、リモデリングが発生していることが明らかになった。
次に、この胃潰瘍モデルマウス組織を用いて、シグナル経路の下流伝達因子の抗体染色を行い、再生過程で特異的に活性化するシグナルXを同定した。マウス胃上皮オルガノイドを用いて、シグナルXの機能を検証した結果、Xは頸部粘液細胞以外の細胞への分化を抑制することが示唆された。現在、胃潰瘍モデルマウスにシグナルXのレセプター/Fc融合タンパク質を発現させるアデノ随伴ウイルスを感染させ、in vivoでシグナルXの経路を阻害した際に再生過程にどのような影響が出るか解析を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は、炎症下で発生する胃腺の病的リモデリングの分子機構を解明することを目的としている。今年度は、病的リモデリングを再現性良く誘導するための胃潰瘍モデルマウスを検討し、リモデリングが発生するまでの経時変化を解明した。これらマウスの組織を用いて、いくつかのシグナル経路の下流伝達因子の抗体染色を行なったところ、リモデリングが形成される過程で特異的に活性化するシグナルを同定することに成功した。また、胃オルガノイドを用いて、同定したシグナルの機能解析を行なっており、リモデリングを誘導するシグナル経路の同定に向けて順調に研究が進んでいる。

今後の研究の推進方策

これまでの胃潰瘍モデルマウスの解析から、リモデリング形成過程で特異的に活性化することが予想されるシグナルを同定した。今後は、in vivoでこれらシグナルを阻害した時に、リモデリング形成過程にどのような影響が出るか解析する予定である。具体的には、シグナルレセプターの細胞外領域にマウスIgGのFc領域を融合させた遺伝子を発現するアデノ随伴ウイルスを作製し、それを胃潰瘍モデルマウスに感染させて、目的とするシグナルを中和した際のリモデリング形成過程を観察する計画である。本実験で、リモデリング形成に影響が見られた場合には、シグナルレセプターのコンディショナルノックアウトマウスを作製し、リモデリング形成に与える影響を検証する計画である。

次年度使用額が生じた理由

今年度は、組織抗体染色の結果からリモデリング過程で活性化するシグナル経路の候補が同定されたため、本シグナルの機能解析を優先的に進めた。これにより、予定していた胃潰瘍モデルマウスの網羅的遺伝子発現解析を次年度に行うことにしたため、当該助成金が発生した。次年度は、当該繰越金を用いて、胃潰瘍誘導後の各タイムポイントで組織を回収し、遺伝子発現解析を行う計画である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 産業財産権 (1件)

  • [産業財産権] 胃幹細胞培養用培地、培養方法2023

    • 発明者名
      栗崎晃、高田仁美
    • 権利者名
      栗崎晃、高田仁美
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      S2023-0337-N0

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公開日: 2024-12-25  

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