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2022 年度 実施状況報告書

抑制性シナプス形成の分子機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K06805
研究機関群馬大学

研究代表者

岩崎 広英  群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (30342752)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードシナプス / 抑制性 / テニューリン2
研究実績の概要

神経細胞は互いにシナプスを介して神経回路を形成し、多彩な脳機能を実現している。中枢神経系においては、グルタミン酸を主な神経伝達物質とする興奮性のシナプスと、グリシンやGABAを主な伝達物質とする抑制性のシナプスがある。発達期においてシナプスは過剰に形成され、その後、生後早期に不要なシナプスが間引かれることにより成熟した神経回路が構築されると考えられている。シナプス形成過程の詳細な分子機構の解明は神経回路がどのように形成されるかについて明らかにする上で重要な課題と言える。興奮性シナプスの大半は樹状突起上のスパインと呼ばれる構造上に形成される。一方、抑制性シナプスは樹状突起上のシャフトと呼ばれる部分に形成されるが、シャフト上でも形成されやすい場所とそうでない場所があることが分かっている。
これまでにシナプス形成時に関わる分子として多くの分子が報告されてきた。本研究では、とくにシナプス形成初期に重要な役割を担うことが知られているテニューリン2に着目し、テニューリン2が抑制性シナプス形成にどのような役割を担っているのかについて解析している。
これまでにテニューリン2がEB1を介して微小管と結合し、微小管をシナプス形成部位に係留することで抑制性シナプスの構成因子をシナプス形成部位へとリクルートすることを見出している(現在、論文改訂中)。本研究ではこれらの知見を踏まえ、さらに発展させることで、テニューリン2の抑制性シナプスにおける局在や機能に関する詳細な解析を行っている。本年度はとくにテニューリン2の遺伝子改変マウスを用いて、その詳細な局在解析と生理機能に関する研究を進めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでに明らかにしてきたテニューリン2の微小管との相互作用に関する論文を投稿し、電気生理学実験をはじめとする実験の追加を査読者より要求されたため、追加実験に時間を要した。一方、テニューリン2の遺伝子改変マウスを用いた発現解析において、テニューリン2が脳全域にわたり広範に発現していることを確認した一方で、個々の抑制性シナプスにおいては発現分子の多様性も確認された。現在、この多様性について詳細に解析を進めている。また、テニューリン2遺伝子改変マウスを用いた行動実験も進めており、予備的な知見を得ている。

今後の研究の推進方策

今年度の解析により明らかとなった点をさらに詳細に解析していく予定である。すなわち抑制性シナプスにおける発現分子の多様性に関しては、抑制性シナプスに局在する各種分子の抗体を用いた免疫組織化学染色をさらに進め、特にテニューリン2の有無と個々の抑制性シナプスの機能的多様性との関連付けを行い、その生理学的意義に迫る。また、テニューリン2遺伝子改変マウスを用いた行動実験について、さらに詳細な行動解析を行い、テニューリン2の脳における生理的役割について明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

本研究を開始する前から購入してあった抗体や試薬を利用することで、当初予定されていたよりも少額で研究を実施することが可能であったため次年度使用額が生じた。一方、次年度は抑制性シナプス関連各種分子の抗体を含め、様々な試薬が必要となることが予想される。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (4件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Correlative microscopy and block-face imaging (CoMBI): a 3D imaging method with wide applicability in the field of biological science2023

    • 著者名/発表者名
      Tajika Yuki、Ishii Nobukazu、Morimura Yoshihiro、Fukuda Kyosuke、Shikada Mitsuaki、Murakami Tohru、Ichinose Sotaro、Yoshimoto Yuhei、Iwasaki Hirohide
    • 雑誌名

      Anatomical Science International

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1007/s12565-023-00705-x

  • [雑誌論文] Insight into the function of a unique voltage-sensor protein (TMEM266) and its short form in mouse cerebellum2022

    • 著者名/発表者名
      Kawai T, Narita H, Konno K, Sharmin A, Tsari AR, Iwasaki H, Nishikawa S, Yokoi N, Fukata Y, Fukata M, Pattama W, Pornparn K, Nagamori S, Takao K, Miyakawa T, Abe M, Sakimura K, Watanabe M, Nakagawa A, Okamura Y
    • 雑誌名

      Biochemical Journal

      巻: 479 ページ: 1127~1145

    • DOI

      10.1042/BCJ20220033

  • [雑誌論文] Recent technological advances in correlative light and electron microscopy for the comprehensive analysis of neural circuits2022

    • 著者名/発表者名
      Iwasaki Hirohide、Ichinose Sotaro、Tajika Yuki、Murakami Tohru
    • 雑誌名

      Frontiers in Neuroanatomy

      巻: 16 ページ: -

    • DOI

      10.3389/fnana.2022.1061078

  • [雑誌論文] Editorial: Cutting-edge technologies for the comprehensive analysis of neural circuits2022

    • 著者名/発表者名
      Iwasaki Hirohide、Lee Kea Joo
    • 雑誌名

      Frontiers in Neuroanatomy

      巻: 16 ページ: -

    • DOI

      10.3389/fnana.2022.1101560

  • [学会発表] 抑制性シナプスの多様性解析2023

    • 著者名/発表者名
      一ノ瀬聡太郎, 岩﨑広英
    • 学会等名
      第128回日本解剖学会総会・全国学術集会
  • [学会発表] シナプス構築部位におけるテニューリン2はタンパク質集積のための標しである2022

    • 著者名/発表者名
      一ノ瀬 聡太郎, 岩﨑 広英
    • 学会等名
      第45回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] 抑制性シナプスの多様性解析2022

    • 著者名/発表者名
      海老原 瑞穂, 一ノ瀬 聡太郎, 鈴木 美博, 岩﨑 広英
    • 学会等名
      第110回 日本解剖学会 関東支部学術集会
  • [学会発表] Teneurin-2 at synapse construction site is a signpost for protein accumulation2022

    • 著者名/発表者名
      一ノ瀬 聡太郎, 岩﨑 広英
    • 学会等名
      第45回日本神経科学大会 2022年7月1日

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公開日: 2023-12-25  

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