研究課題/領域番号 |
22K06807
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
佐藤 昇 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00254756)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 運動ニューロン / メダカ胚 / 胸鰭 / 発生 |
研究実績の概要 |
胸鰭除去(標的除去)された運動ニューロンの発生をモニターするために、まず正常なメダカ胚においての運動ニューロンの発生過程を時系列で調査した。孵卵開始3.5日目にはacetylated-tubulin陽性の神経線維が胸鰭に侵入し、孵卵5日目でα-bungarotoxinで標識されるアセチルコリン受容体が侵入神経先端部で発現するのが確認された。先行研究では胸鰭除去後に運動ニューロンは細胞死を起こさず、長期間生存し留まることが示唆されており、発生が進んだステージでも運動ニューロンをモニターする必要がある。またコリン作動性の機能面についても評価が可能か検証するために、アセチルコリンの合成に必要なcholine acetyltransferase(ChAT)で免疫染色ができるか検証を行った。その結果、脳幹部や腸において孵化後7日目(孵卵開始から16日目)ではChAT陽性細胞が認められた。一方で脊髄運動ニューロンでは発現が明瞭には認められず、孵化後7日目ではアセチルコリンの生成が他のコリン作動性ニューロンに比して顕著ではないことが示唆された。一方でアセチルコリン受容体をα-bungarotoxinで標識すると前述のように孵卵5日目から発現が認められ、かつ胸鰭の運動も確認することができた。従って孵卵5日目の時点で脊髄運動ニューロンから神経筋接合部を介したシグナル伝達は行われており、おそらくアセチルコリンを介したシグナルであることが想定される。孵卵16日目の脊髄運動ニューロンでChAT陽性所見が顕著でないことから、メダカ胚の脊髄運動ニューロンはコリン作動性ニューロンとしては、発生・発達経過と共に比較的ゆっくり成熟していく可能性やステージによって比較的ダイナミックに変動するが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
運動ニューロンの発生過程を経時的かつ長期間モニターするための標識について検討を進めた。アセチルコリンの合成に必要なcholine acetyltransferase(ChAT)の発現を確認することで、コリン作動性ニューロンとしての機能面についても評価が可能となるため、様々な抗体を運動神経マーカーとして使用できるか試してみた。その結果、本研究で使用するメダカ胚でコリン作動性ニューロンを免疫染色で捉えることができる抗体を特定することができた。またこの過程で副次的にニワトリ胚でのコリン作動性ニューロンを標識できる抗体も見出しており、今後研究の対照として発育鶏胚を利用できることも見出した。
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今後の研究の推進方策 |
ChAT免疫染色でメダカ胚のコリン作動性ニューロンを標識できることは判明したので、孵化後7日目の脊髄運動ニューロンで陽性初見が顕著でない点について調べる予定である。胸鰭の運動は孵卵5日目では確認されているため、運動ニューロンから神経筋接合部を通じたシグナル伝達は行われている可能性が高い。ChATの脊髄運動ニューロンでの発現を孵卵開始4日目から経時的に孵化後14日目程度まで調査する予定である。
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