研究実績の概要 |
転写メディエーター複合体(以下メディエーター)はRNA polymerase II (Pol II)の転写開始時の制御を行う超分子複合体である. Pol IIに直接結合し転写活性化を行うコアメディエーターと, コアメディエーターに結合し転写の抑制, キナーゼサブユニットによるPol IIのC末端ドメイン(CTD)のリン酸化や, 転写活性化因子のリクルートによる転写活性化を行うCDKモジュール (以下CDKM)から構成されている. つまりCDKMはメディエーターの活性のON/OFFを切り替える最重要因子である. さらにCDKMの変異は精神性疾患, 大腸癌, 肉腫など疾病とも関連している. その重要性にもかかわらずCDKMの分子レベルでの‘転写制御機構は未だ不明である. 本研究では (A) クライオ電子線顕微鏡単粒子解析を用いてCDKMと基質の高分解能構造解析 (B) 組換えタンパク質のヒトCDKMとその変異体を用いたリン酸化アッセイによる, 変異のリン酸化への影響の解析 を行い, CDKMのリン酸化機構, そしてCDKMに数多くある疾病原因変異とこれら活性との関連を解明する. 今年度はクライオ電子顕微鏡単粒子解析に向け安定な基質との複合体調製条件の検討, ならびにグリッド作成条件の検討を行った.
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