研究課題/領域番号 |
22K06811
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
那須 信 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 講師 (80634790)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 大脳新皮質 / 大脳古皮質 / 層構造 / 進化 |
研究実績の概要 |
本研究では古皮質の細胞特性を明らかにすることを第一の目的とし、マウス古皮質のシングルセルレベルでの遺伝子発現解析を行う計画である。昨年度時点で、マウス古皮質を単離しシングルセル化処理ののち、10x Chromiumシステムを用いて次世代シークエンサー(NGS)でリード解析するための分子バーコード・細胞バーコードを含めたNGSライブラリーを作成した。さらに、このライブラリーを用いてSingle-cell RNA-seqリード解析まで行った。しかしその後、リード解析結果を確認すると、以降の解析の主たる対象になると考えるニューロン群が大きく抜け落ちていることがわかった。ニューロンは、細胞死に特にセンシティブな細胞であり、シングルセル化処理過程でのダメージをより強く受けていたためと判断した。解析パイプラインの工夫を行い、このデータを用いて解析を進めることも模索したが十分な細胞数を得るに至らず、最終的に意義のある解析結果を導くことはできないと判断した。今年度、シングルセル化処理方法についてリード解析に用いるサンプルの品質向上を目指した検討を重ね、発達期以降のマウス脳組織を用いた解析にはシングル核を用いた解析が最善であると結論した。シングル核化処理方法についてプロトコルを決定したのち、再度のシングルセルRNA-seqを行った。今後、リード結果の解析を進め、古皮質内の個々の細胞特性を明らかにしていく。また、脳領域間の特性の違いを公共データも活用した比較解析により明らかにしていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
Single-cell RNA-seqのリード過程において、これまでに二度の問題対処が必要な事態が生じた。1度目は得られたシーケンスデータの品質が良好ではなかった。このため、再度のサンプル調製方法を検証したのち、再度RNA-seqを行った。2度目はシーケンス過程においてリードエラーが生じた。サンプル調製からやり直しをする必要が生じ、時間的ロスが大きく生じる状況となっている。
|
今後の研究の推進方策 |
現在進行中のシーケンスリード解析からシーケンスデータが得られ次第、in silico解析を進める方針である。また、RNA-seq解析の結果に基づき、組織学的解析でも検証を行いたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
1次データ納品の遅れから、データ解析およびその検証実験のために予定していた計画は実行できず、年度を跨ぐこととなった。今後、データが得られ次第、in silico解析を進め、また組織学的解析でも検証を行う計画である。
|