研究課題/領域番号 |
22K06812
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
辰巳 晃子 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (90208033)
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研究分担者 |
石西 綾美 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (10836018)
田中 達英 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (80567032)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | アストロサイト / Olig2 / タモキシフェン |
研究実績の概要 |
我々は成熟脳において転写因子Olig2系譜のアストロサイト(以下Olig2-AS)の亜集団を見出しこれらがGABA入力のある神経核に局在する傾向がある事を報告してきた。本研究では神経回路特異的という観点からOlig2-ASの機能解析を目指す。 まず、Olig2-ASの発生を明らかにするために、タモキシフェン(TM)投与によりOlig2プロモーター下にtdTomatoを発現するダブルトランスジェニックマウスを作成し、TM投与する時期を ①P0-P7、②P8-P14、③P15-P21、④ P22-P28 に限定する4群に分けた。一般的にTM投与は腹腔内注射が用いられるが、仔マウスへの連日投与はストレスが高いことから侵襲性のない母乳経由で投与する方法を検討した。授乳する母親マウスにTMを0.005%~0.05%の濃度に混合した餌を与え、その母乳で育った仔マウスの脳における組換え率を検討したところ、P0~P14仔マウスは0.01%、P15~P28仔マウスへは0.05%のTM混合餌により効率よく組換えがおこることが分かった。それぞれの群でTM投与終了日の翌日に仔マウスの脳を取り出してtdTomato の免疫組織化学染色によりOlig2-ASの局在パターンを観察した。その結果、①②群 (P0~P14にTAM投与)ではOlig2-ASがマウス脳全体にユビキタスに存在した。一方③④群 (P15-P28にTAM投与)では、Olig2-ASは明確な局在性を示した。この分布は成熟脳にTMを投与した場合と同様の局在性であった。つまりP15以降は脳全体に散在していたOlig2-ASが生後2週間を境にある神経核のみに限局する事を示唆している。シナプス形成が終了し神経回路が完成するこの時期にOlig2-ASの局在性が完成する事が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Olig2由来の細胞の脳内分布を観察するために仔マウスでの遺伝子組換え率を上げる必要がある。従来の腹腔内注射によるタモキシフェン投与ではマウスへの侵襲性が高い上に組換え率が低く分布を観察するに至らなかった。そこで新生仔期のマウスへのタモキシフェン投与法の検討を行ったため予定より時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
神経回路(特に抑制性)の形成時期とOlig2-ASとの関与を観察するために、GAD67-GFPマウスとOlig2creER:tdTomatoマウスを掛け合わせトリプルトランスジェニックマウスを作成する予定であり、これはほぼ完成している。このマウスでは抑制性ニューロンとその神経突起がダイレクトにGFPでラベルされるため抑制性シナプス形成時期を可視化できる。三者間シナプスの観点からOlig2-ASの微細構造の変化や抑制性シナプスとの関連について詳細に観察を行う予定である。
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