研究課題/領域番号 |
22K06819
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
折井 みなみ 昭和大学, 医学部, 助教 (60792645)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ミステリン / もやもや病 / 脂肪滴 |
研究実績の概要 |
もやもや病は脳への主要な血液供給路である内頸動脈の終末部において狭窄・閉塞を生じる原因不明の脳血管疾患であり、日中韓を含む東アジア圏の小児に多くみられる。もやもや病の原因遺伝子産物はミステリン(別名RNF213)と呼ばれ、巨大なタンパク質内部にAAA+ ATPaseドメインと、RINGフィンガーおよびRZフィンガーという二つのユビキチンリガーゼドメインを持つ。野生型のミステリンは細胞内の脂質貯蔵庫である脂肪滴に局在し、脂質の安定化に働いているが、白人もやもや病患者において発見されたユビキチンリガーゼドメイン内の変異を持つ変異型ミステリンは、脂肪滴には局在せずサイトゾル内に凝集を形成し、かつ炎症反応を惹起することがわかった。この凝集形成のメカニズムについて検証を行い、一端を明らかにすることができた。さらに東アジア圏における主要なもやもや病関連変異であるR4810K変異を持つ変異ミステリンの挙動についてもいくつかの新たな知見を得た。 これまでR4810K変異のノックインマウスやトランスジェニックマウス、ミステリンノックアウトマウスを用いた個体の解析は行われてきたものの、もやもや病に相当する変化を含め、著明な異常は認められず、もやもや病の発症メカニズムは未だ謎のままである。我々は独自のもやもや病モデルマウスの開発に着手し、頭蓋内や全身の血行動態の観察による血管障害の探索、さらには血管内皮や平滑筋細胞内での凝集体や免疫細胞との相互作用などの観察を行うとともに、細胞・個体から得られた知見をもとに治療法の開発を試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
白人患者変異型ミステリンが細胞質内に凝集体を形成するメカニズム、および炎症反応を惹起するメカニズムの検証、そしてもやもや病モデルマウスにおける血行動態の検証ともに概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
細胞内における変異型ミステリン凝集体の形成メカニズムをもとに、もやもや病モデルマウスにおける血管内皮や平滑筋細胞の挙動を検証する。さらに頭蓋内や全身の血行動態と関連づけながら、免疫細胞群の関与にも着目して解析を進めるとともに、治療法の探索を行なう。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度の方が学会参加による出張費が多く、また新規実験による物品購入額も増える見込みがあるため今年度の消費を少なめにし次年度に回した。
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