研究課題/領域番号 |
22K06825
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山口 聡一郎 北海道大学, 獣医学研究院, 准教授 (50596864)
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研究分担者 |
岡松 優子 北海道大学, 獣医学研究院, 教授 (90527178)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | プロトンチャネル / 褐色脂肪 |
研究実績の概要 |
本年はまず、スクリーニングにより明らかにしたOTOP1の新規阻害薬Cibacron Blue 3G-Aについての論文を公表することができた。Cibacron Blue 3G-AがIC50が5μMほどであり、他に唯一知られている亜鉛イオンより低濃度で抑制でき、亜鉛イオンとは異なり、電位依存性やpH依存性がなく、溶液の有機陰イオンによって影響され難いことを明らかにできた。 次にOTOP1の翻訳後修飾についても進展が見られ、翻訳後修飾を受けるアミノ酸残基やどのようなタイプの翻訳後修飾かを明らかにすることができた。現在、論文を投稿してrevisionに向けて追加実験を行っているところである。 一方でOTOP1と褐色脂肪細胞機能については、他研究グループにより、OTOP1欠損マウスを用いた実験で、低温暴露時の体温維持にOTOP1は関与しないことや、褐色脂肪細胞の通常の環境下での熱産生能にOTOP1は関与しないことを示す論文がPlos One誌に公表された。我々の実験においても熱産生能の指標として酸素消費量を、WTマウスとOTOP1欠損マウスから単離した褐色脂肪細胞で調べたところ、ノルアドレナリン処置で有意な差は見られなかった。しかし、Plos One の論文では褐色脂肪細胞でのOTOP1のタンパク質としての発現や、OTOP1が機能的に発現していることは明らかにされていない。しかし、我々はWTマウスとOTOP1欠損マウスの褐色脂肪の未分化細胞から、培養分化させた褐色脂肪細胞を用いてパッチクランプ法によるプロトン電流を測定したところ、WTマウス由来の分化誘導褐色脂肪細胞でのみプロトン電流が測定できた。よって、褐色脂肪細胞でのOTOP1の機能的な発現が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
OTOP1の阻害薬を見出したり、翻訳後修飾を明らかにしたり、進展が見られている。また、他研究グループによって論文が出されてしまったものの、その論文中では明らかにされていない褐色脂肪細胞でのOTOP1の機能的な発現を明らかにできているため、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
翻訳後修飾についての論文の公表を目指すとともに、OTOP1の褐色脂肪細胞でのOTOP1の機能的な発現を明らかにして論文としてまとめる。さらにOTOP1が褐色脂肪細胞での熱産生能に関与する条件や状況をOTOP1の機能調節機構を探索していくことで明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
必要な消耗品等を購入し終えた残額。次年度に消耗品費として使用する。
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