研究課題/領域番号 |
22K06827
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
清水 貴浩 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 准教授 (40353437)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | チャネル / ミトコンドリア / 蛋白質間相互作用 |
研究実績の概要 |
容積感受性外向き整流性アニオンチャネル (VSOR) は、細胞の生死を制御するイオンチャネルである。これまでの予備的実験において、ミトコンドリアに発現しているswelling-sensitive molecule A (SSM-A:仮称) の発現量とVSOR機能が正の相関を示すだけでなく、VSORの機能発現における必須構成分子であり、原形質膜に発現しているleucine-rich repeat-containing 8A (LRRC8A) とSSM-Aとの近接がVSOR機能に必須であることを見出していることから、本年度は、これらの蛋白質間相互作用によるVSOR機能の制御機構について解明することを目的とした。 まず、VSORの機能制御に必要なSSM-A領域を明らかにするため、VSOR活性に影響しない他のSSMアイソフォームとのキメラ体を作製した。いくつかのSSM-AのN末端キメラ体を過剰発現したヒト胎児腎臓HEK293T細胞では、VSOR電流のSSM-Aによる亢進が見られなくなった。また近接ライゲーションアッセイ法によりLRRC8AとSSM-Aとの近接を検討した結果、これらのSSM-Aキメラ体はLRRC8Aとの近接を示さなかった。一方、LRRC8AのC末端にあるleucine-rich repeat 領域を欠損させた変異体を作製したが、欠損変異体の発現が見られなかった。このため、leucine-rich repeat 領域の変異体を作製し、SSM-Aと相互作用するLRRC8Aの領域の検討を進めている。以上の結果から、VSORの機能制御にはSSM-AのN末端とLRRC8Aとの近接が重要であることが示唆された。本研究結果により、原形質膜とミトコンドリアのクロストーク機構に必須となる蛋白質間相互作用について明らかにできた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究において、VSORの機能に影響を与える原形質膜とミトコンドリアの蛋白質間相互作用メカニズムを明らかにできた。研究計画は着実に進行しており、成果も順調に得られている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、原形質膜とミトコンドリアのクロストーク機構についてより詳細に明らかにするため、ミトコンドリアの局在および動態のVSOR機能に対する影響について検討を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品の精査を行うことで、少額の未使用額が生じた。この未使用額については、次年度の研究計画における消耗品代として使用する。
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