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2022 年度 実施状況報告書

高齢時の体液貯留かつ低栄養を惹起する鍵分子はバソプレシンなのか?

研究課題

研究課題/領域番号 22K06840
研究機関千葉大学

研究代表者

橋本 弘史  千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (10454935)

研究分担者 吉村 充弘  産業医科大学, 医学部, 講師 (00464462)
上田 陽一  産業医科大学, 医学部, 教授 (10232745)
安西 尚彦  千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (70276054)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードバソプレシン / オキシトシン / 概日リズム / 高齢 / デスクロロクロザピン
研究実績の概要

本研究では、抗利尿ホルモン (バソプレシン : VP)ニューロンを特異的に興奮させることのできる数種類の遺伝子改変動物を用いて、VPの摂食調節機構における役割、および、飲水と摂食中枢におけるVPのネットワーク構築と、加齢による変化を明らかにすることを目的としている。これまでに、長期間、VPニューロンを興奮させ続けた研究はなかったため、VP-hM3Dq-mCherry Tg ラットを用いて、デスクロロクロザピン(DCZ)の持続投与により、VPニューロンを継続的に興奮させた際の、摂食および飲水行動の変化を見ることとした。まずは、プレ実験として、オキシトシン(OT)-hM3Dq-mCherry Tg ラットに浸透圧ポンプを用いてDCZ(0.05, 0.5, 5 mg/week)を1週間投与し、その体温および活動量の変化を記録し、1週間後の血中OT濃度を測定した。DCZ投与開始直後より、体温は低下しており、DCZがOTニューロンを興奮させていることが推測された。また、投与1週間後の血中OT濃度は、DCZの用量依存的に増加していたことから、DCZの投与量を1mg/weekとした。次に、3ヶ月齢のVP-hM3Dq-mCherry Tg ラットに浸透圧ポンプを用いてDCZ(1 mg/week)を1週間投与し、その体温および活動量の変化を記録した。実験開始直後より、DCZ投与群では、飲水量が有意に減少し、開始4日目の摂食量も有意に減少していた。体温および活動量は、DCZ投与群では概日リズムが乱れ、特に、暗期後半と明期の後半に体温および活動量ともに有意な差が見られた。今後は、DCZ投与期間を長く、また、高齢の2歳齢のVP-hM3Dq-mCherry Tg ラットでも同様の実験を行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでに、長期間、VPニューロンを興奮させ続けた研究はなかったため、1週間ではあるが、VP-hM3Dq-mCherry Tg ラットを用いて、DCZの持続投与により、VPニューロンを特異的に継続的に興奮させることが可能であり、また、摂食を抑制することが分かった。さらに長期間投与した際、並びに、高齢ラットにおける変化を今後観察する予定である。他の遺伝子改変ラットを用いた実験については、2歳齢の遺伝子改変ラットの準備をするための飼育スペースの関係もあり、まだ出来ていないが、今後、飼育スペースを確保し、研究を進めて行く予定である。

今後の研究の推進方策

DCZの投与期間を更に延長する予定である。3ヶ月齢および2年齢のVP-hM3Dq-mCherry Tg ラットにおいて、浸透圧ポンプを用いてDCZ(1 mg/week)を2ー4週間持続投与し、体温および活動量の変化を記録し、また、2ー4週間後の血中VP濃度測定をし、脳内のVP動態を免疫組織科学的染色法を用いて調べる予定である。

次年度使用額が生じた理由

当初予定では、DREADDs系の実験において、VPニューロンを特異的に興奮させる薬剤として、代表的な作動薬である酸化クロザピンを想定していたが、新規作動薬であるデスクロロクロザピン(DCZ)がより少量の投与量で作動することが分かったので、物品費用が予定より少なくなった。今後は、DCZを長期間投与して、実験を行う予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] The anorectic effect of central administered xenin was partially mediated by the nesfatin1 in rat2023

    • 著者名/発表者名
      齊藤将太、橋本弘史、濱口紀江、裵祥存、齋藤心平、霊園良恵、平山友里、安西尚彦
    • 学会等名
      第100回日本生理学会記念大会
  • [学会発表] Stimulation of tail suspension activates hypothalamus oxytocin neurons in rats2023

    • 著者名/発表者名
      橋本弘史、星合宗、千葉友美、美津島隆、安西尚彦
    • 学会等名
      第100回日本生理学会記念大会
  • [学会発表] Anorexigenic effects of central administered xenin was possibly induced via central nesfatin-1 cells in rats2022

    • 著者名/発表者名
      齊藤将太、橋本弘史、濱口紀江、裵祥存、齋藤心平、霊園良恵、平山友里、安西尚彦
    • 学会等名
      第96回日本薬理学会年会

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公開日: 2023-12-25  

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