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2022 年度 実施状況報告書

ミトコンドリアCa2+動態を起点とした神経細胞機能制御の分子機序解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K06841
研究機関福井大学

研究代表者

竹内 綾子  福井大学, 学術研究院医学系部門, 准教授 (00378704)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードミトコンドリア / カルシウム / トランスポータ
研究実績の概要

抗体磁気ビーズを用いて、純度の高いミトコンドリア単離法を確立した。新たな単離法で得た脳および心筋ミトコンドリアサンプルには、従来の単離法で問題となっていた細胞膜の混入が極めて少ないことを、Western blotにより細胞膜マーカーNa+/K+ ATPase alpha1 subunitを評価することで確認した。
マルチモードプレートリーダーEnSpireを用いた蛍光測定により、純度の高い単離ミトコンドリアCa2+動態の生物物理学的特性を解析した。単離ミトコンドリアにCa2感受性蛍光色素Fluo-8, AMを負荷し、ミトコンドリア内へのCa2+流入特性を評価したところ、心筋と異なり脳ではミトコンドリア膜電位脱分極時においてもCa2+流入システムが存在すること、このシステムがNa+ならびにK+感受性であることを発見した。また、心筋と脳ミトコンドリア膜タンパク質群の網羅的解析を行い、サブトラクションすることによって、それぞれの臓器に特異的に発現する膜タンパク質の候補を複数得た。
Osterらによる簡易神経細胞数理モデル(Frontiers in Computational Neuroscience, 2015)を竹内の数理モデルプラットフォーム上で再構築し、膜興奮・Ca2+変動を計算するとともに、ミトコンドリア機能の実装に取り組んだ。今後、脳のミトコンドリアに特徴的なCa2+輸送特性が、神経細胞においてどのような挙動を示すのか、その生理的意義について評価していく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

純度の高いミトコンドリア単離法を確立し、脳のミトコンドリアに特徴的なCa2+輸送の生物物理学的特性を評価するとともに、これを担う候補分子を得られたことから、おおむね順調に進展していると判断する。

今後の研究の推進方策

令和5年度は令和4年度に引き続き、脳に特徴的なミトコンドリアCa2+輸送の生物物理学的特性について解析を進める。本解析と、ミトコンドリア膜タンパク質群のサブトラクション解析から、新たなミトコンドリアCa2+輸送体の候補分子を複数ピックアップする。これらの分子のゲノム編集培養神経細胞を樹立し、野生株と比較解析することによって、脳に特異的な新規ミトコンドリアCa2+輸送体を同定する。
新規ミトコンドリアCa2+輸送体を介したミトコンドリアCa2+動態-代謝-神経細胞機能連関を解析する。包括的神経細胞数理モデル解析と組み合わせ、モデル予測-実験検証を繰り返すことで、ミトコンドリアCa2+動態を起点とした新たな神経細胞機能制御の分子機序を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

ミトコンドリアCa2+輸送の生物物理学的特性を効率的に評価するために、数理モデル解析を取り入れながら実験プロトコールを検討した。このため、当初令和5年度に予定していた神経細胞数理モデル構築・ミトコンドリア機能の実装を令和4年度に前倒しし、代わりに令和4年度に予定していた培養神経細胞解析を次年度に行うこととした。それに伴い、細胞培養、ゲノム編集等の経費計上が令和4年度から令和5年度に変更となり、次年度使用額が生じた。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Spatial and functional crosstalk between the mitochondrial Na+-Ca2+ exchanger NCLX and the sarcoplasmic reticulum Ca2+ pump SERCA in cardiomyocytes2022

    • 著者名/発表者名
      Takeuchi A, Matsuoka S
    • 雑誌名

      International Journal of Molecular Sciences

      巻: 23 ページ: 7948~7948

    • DOI

      10.3390/ijms23147948

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Molecular logic of salt taste reception in special reference to transmembrane channel-like 4 (TMC4)2022

    • 著者名/発表者名
      Kasahara Y, Narukawa M, Takeuchi A, Tominaga M, Abe K, Asakura T
    • 雑誌名

      The Journal of Physiological Sciences

      巻: 72 ページ: 31

    • DOI

      10.1186/s12576-022-00856-y

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Impact of mitochondrial Ca2+ dynamics on cardiomyocyte function2023

    • 著者名/発表者名
      Matsuoka S, Takeuchi A, Takeda Y
    • 学会等名
      第100回日本生理学会大会
  • [学会発表] Distinct characteristics of mitochondrial Ca2+ dynamics in mouse heart and brain2023

    • 著者名/発表者名
      Takeuchi A, Matsuoka S
    • 学会等名
      第100回日本生理学会大会
  • [学会発表] 心筋細胞におけるミトコンドリアNa+-Ca2+交換輸送体NCLXと筋小胞体Ca2+ポンプSERCAの構造的連関とその生理的役割2022

    • 著者名/発表者名
      竹内綾子、松岡達
    • 学会等名
      生理研研究会
  • [備考] 福井大学学術研究院医学系部門医学領域形態機能医科学講座統合生理学分野ホームページ

    • URL

      http://isphysio.med.u-fukui.ac.jp/index.html

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公開日: 2023-12-25  

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