研究課題/領域番号 |
22K06850
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
倉田 康孝 金沢医科大学, 医学部, 教授 (00267725)
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研究分担者 |
津元 国親 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (70353331)
九田 裕一 金沢医科大学, 医学部, 講師 (50566916)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | システム生理学 / 非線形力学 / 分岐解析 / 数理モデル / シミュレーション |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、心臓生理学者のためのヒト固有心筋および特殊心筋細胞の新たなモデルデータベースを作成し、ヒト心筋細胞における分岐現象の解析システム(モジュールプログラム群)を構築して、非線形システムの分岐理論に基づく心臓自動能の起源・発生機序の数理生理学的研究やヒト心臓モデル構築のための理論的基盤を確立することである。 初年度(2022年度)は、まず2000年以降に作成されたヒト心房筋・心室筋細胞および洞房結節・Purkinje線維細胞のモデルをCellMLモデルデータベースとPubMedを利用して収集し、科学技術計算ソフトウェアMATLAB(MathWorks Inc., USA)を用いて心臓生理学者にも扱いやすい独自のモデルデータベース(数式を記載したファンクションファイル群)を作成した。次に、モデルごとに活動電位・膜イオン電流を再現(シミュレーション)するためのMATLABプログラム群(スクリプトファイル)を作成して、ヒト幹細胞由来心筋細胞等から得られた最新の電気生理学的実験データから各モデル細胞の実験データ再現性を比較検証し、分岐解析に適したヒト心房筋・心室筋細胞および洞房結節細胞の標準モデルを選定・改変して、MATLABプログラミングモジュールとしてデータベース化することができた。さらに、MATLABおよび分岐追跡ソフトウェアMATCONTを用い、ヒト心室筋・心房筋および洞房結節細胞モデルにおける分岐現象を検証するための分岐解析システム群を作成し、データベース化した各モデルのMATLABプログラム(スクリプトファイル)に実装することができた。これらのモデルはヒト心筋細胞の活動電位波形やQT延長症候群における早期後脱分極などの異常自動能をよく再現し、特殊心筋における自動能発生機序や不整脈発生機序の解析に適していることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
各心筋細胞(洞房結節・心房筋・心室筋)のモデルを構築し、自動能発生機序を統合的に解明するためにモデル細胞の分岐構造を精密に解析している。複数(9個)の細胞モデルの分岐構造を検証しているが、高次元システムの分岐構造解析は通常のシミュレーション(数値計算)に比べてはるかに時間がかかるため、現有のワークステーションでは当初の予定通りの計算を進めることができず、分岐解析データの生成がやや遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
メモリ(RAM)増設などでワークステーションのスペック向上(性能アップ)を図り、計算を高速化することで、分岐解析・シミュレーション解析をより効率的に進める必要がある。また、GPU増設とGPU対応ソフトウェア(MATLAB Parallel Computing Toolbox)の導入による計算の高速化も検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
ワークステーションを早期に導入するためにそのスペックをやや下げる必要があり(新型コロナウイルス感染症等の影響による半導体不足でハイスペックの製品は入荷が遅れる恐れがあった)、結果的に金額が予定より安価になったこと(来年度にスペックを上げる予定)と、分岐解析データの生成・収集がやや遅れているため予定していたデータ保存用ハードウェア購入を来年度に先送りしたことで、約42万円の差額が生じた。この残金は来年度におけるワークステーションのスペック向上と分岐解析データ保存用ハードディスク購入に充てる予定である。
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