研究課題/領域番号 |
22K06851
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
荒田 晶子 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (00266082)
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研究分担者 |
山中 章弘 名古屋大学, 環境医学研究所, 特任教授 (60323292) [辞退]
東島 眞一 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究, 生命創成探究センター, 教授 (80270479)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 胎動性活動 / 全身回転運動 / NMDAレセプター / ゼブラフィッシュ / ラット / TRPA1 / 5-HT |
研究実績の概要 |
胎動のような全身回転運動は、ほ乳類だけでなく魚類のゼブラフィッシュにおいても極めて良く似た初期運動が保存されているため、この運動は発達に重要な役割を持つと思われる。また、全身回転運動は、体にある感覚器に物理的な刺激を与えて活性化し、それが神経回路の発達を促すのではないかという仮説に基づき、感覚-運動連関の観点から、胎動が歩行・呼吸といったリズム活動を巻き込んで全身運動をすることにより、神経回路構築に関わる可能性を解析する。 全身回転運動は、ゼブラフィッシュの受精後17時間~23時間の間に見られるものであり、ラットでは胎生15日~21日、ヒトでは8週~12週に該当することが確認された。また、これらの運動はラットでは、NMDAレセプターグリシン結合部位の遮断薬でブロックされ、ゼブラフィッシュの初期運動であるCoillingもNMDAレセプター遮断薬で抑制された。また、Coillingを麻酔薬により止めると、その後の発達において、泳ぎのスピードが有意に遅くなるという結果を得ている。さらに、感覚に応ずる泳ぎの反応時間も遅くなり、致死率も高くなった。その影響は、受精後20-23時間の孵化直前期間を抑制した時に最も顕著であった。一方で、齧歯類では、胎生15日~21日に全身回転運動が現れており、麻酔薬によってほぼ完全に抑制された。また、感覚-運動連関においては、感覚刺激薬であるTRPA1やTRPV1を用いて手足の感覚刺激と呼吸の反応性を調べており、呼吸-体動の関連性においては、リズム形成能を持つ5-HTなどを用いて調べることにより胎生期の運動が他のリズム運動にどのように関わるのかについて解析している所である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、分担研究者であり、胎仔の睡眠覚醒リズムを調べるための装置を開発する予定であった山中章弘先生が中国に研究拠点を動かしたため、その関係の研究はすぐには出来ない状態となり、その実験が遅れてしまっている。ゼブラフィッシュやげっ歯類の実験はある程度の進度を保っているので、全体的にはやや遅れている状態である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、山中先生のチームでの担当は現在の名古屋大学の山中チームが引き継いているので、そこが軌道に乗るのを待っているところであるが、ゼブラフィッシュの研究やげっ歯類の研究においては、次のステップである光遺伝学的操作や光学的測定法も使用して、胎動性神経回路と呼吸性神経回路の発達における相互作用について検討を進めている。山中先生の担当部分が遅れるようであれば、今後、研究計画を変更することも考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の研究計画では、初年度に山中チームと合同で睡眠覚醒リズムを測定する機器を構築する予定であったが、その山中先生が中国へ研究拠点を移されたため、合同での機器の構築が出来なかったため、その経費が次年度に繰り越された。
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