敗血症とそれに伴う急性腎障害(AKI)は、加齢により劇的に増悪し、集中治療室では約半数が死亡する。申請者らは最近、敗血症において腎近位尿細管バリアー破綻による病態を世界で初めて発見した。この病態に関する研究領域はいまだ黎明期である。そこで本申請課題では、敗血症性AKIにおける加齢性変化と尿細管バリアー破綻との関連を検討した。具体的には、バリアー破綻の原因を見出した:近位尿細管・マクロファージ連関が若齢・老齢両方のバリアー破綻に共通の病態であり、ただしその連関機序は完全に変質していることを掴んだ。これらの研究は、敗血症性腎障害研究の取り組みに革命的な視点を加えると確信しており、成果は患者の年齢により標的分子を変更する新たな治療戦略の創出に繋ることを期待している。
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