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2022 年度 実施状況報告書

脳内アンジオテンシン変換酵素2の機能解析と新規うつ病治療薬の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K06866
研究機関東北医科薬科大学

研究代表者

中川西 修  東北医科薬科大学, 薬学部, 准教授 (50296018)

研究分担者 大河原 雄一  東北医科薬科大学, 薬学部, 教授 (40333801)
小野木 弘志  東北福祉大学, 健康科学部, 准教授 (50610200)
根本 亙  東北医科薬科大学, 薬学部, 助教 (80635136)
高橋 浩平  国際医療福祉大学, 薬学部, 助教 (90846411)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードアンジオテンシン変換酵素2 / うつ病 / アンジオテンシン1-7 / Mas受容体
研究実績の概要

最近、嗅球摘出(OBX)マウスの海馬においてアンジオテンシン(Ang)変換酵素(ACE)の活性化と、ACE2の活性低下に起因したACE/AngⅡ/AT1受容体系とACE2/Ang(1-7)/Mas受容体系のバランスの不均衡が神経新生を抑制し、うつの発症に関与していることを明らかにしているが、脳のACE2の役割は不明である。本年度では脳内ACE2の活性化がうつ病の新規治療標的に成り得るか否かを検討するため、ACE2活性化薬のDIZEを Naiveマウスへ脳室内(i.c.v.)投与し、うつ様行動に対する効果およびその機序を行動薬理学的に検討した。DIZE (i.c.v.)投与したNaiveマウスで、テールサスペンション試験において有意な無動時間の減少が認められた。DIZEの抗うつ作用は、ACE2活性化に起因して増大したAng (1-7) が作用した可能性が考えられる。そこでDIZEによる無動時間の減少が、Ang (1-7) が作用するMas受容体を介するか検討した。その結果、Mas受容体遮断薬であるA779 を抗うつ作用の認められたDIZE と同時にi.c.v.投与すると、DIZEの抗うつ作用が有意に消失した。この結果から、DIZEはAng (1-7) の産生量を増加させ、Mas受容体を活性化し抗うつ作用を示すことが示唆された。さらに、Ang (1-7) がテールサスペンション試験における無動時間に影響を与えるか否かを検討した結果、Ang (1-7) をi.c.v.投与したNaiveマウスでも有意に無動時間が減少した。また、Ang (1-7) による無動時間の減少は、A779との同時投与より、完全に消失した。以上の結果をまとめると、DIZEの抗うつ作用はACE2の活性化に起因して増加したAng (1-7) がMas受容体を活性化することで得られた可能性が考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

脳内アンジオテンシン変換酵素2活性化による抗うつ作用の機序を行動薬理学的に明らかにしているのでおおむね順調に進んでいる。

今後の研究の推進方策

アンジオテンシン変換酵素2 (ACE2)活性化薬により抗うつ作用が認められたことから、脳内のどの領域が抗うつ作用に関与しているか領域ごとでACE2活性化を測定する。さらに、その活性化している領域でACE2が神経細胞、ミクログリア、アストロサイトのどの細胞腫に発現するかを明らかにするため免疫組織化学的手法により解析する。これらnaiveマウスの結果から、うつ病のモデル動物である嗅球摘出マウスを用いて行動薬理試験およびACE2やMas受容体が存在する細胞種の割合等を免疫組織化学的手法を用いて研究する予定である。

次年度使用額が生じた理由

試薬等の実験材料が年度内に納品されなかったため、次年度使用額が生じた。この実験材料費と翌年度請求助成金を合わせ実験を実施していく予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (1件)

  • [国際共同研究] McGill University(カナダ)

    • 国名
      カナダ
    • 外国機関名
      McGill University
  • [学会発表] アンジオテンシン変換酵素阻害薬の抗うつ作用メカニズムについて2022

    • 著者名/発表者名
      中川西修,小平貴代,小野涼太郎,髙橋浩平,根本 亙,若生美春,小野木弘志,只野 武,丹野孝一
    • 学会等名
      第24回活性アミンに関するワークショップ

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公開日: 2023-12-25  

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