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2023 年度 実施状況報告書

膵β細胞からのインスリン分泌におけるIP3シグナルによる調節機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K06868
研究機関日本大学

研究代表者

太向 勇  日本大学, 医学部, 助教 (20836556)

研究分担者 金丸 和典  日本大学, 医学部, 准教授 (10456105)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードインスリン分泌 / カルシウム / IP3
研究実績の概要

前年度では、膵β細胞からのインスリン分泌におけるIP3シグナルによる調節機構の解明のために、マウス単離膵島においてインスリン分泌のトリガーとなるカルシウムイオンのイメージングを行った。膵β細胞は高濃度グルコース下において、アセチルコリン受容体刺激に対して特異な反応を示すことを報告した。さらにはその特異な反応がIP3シグナル阻害下では観察されないことも報告した。
本年度ではさらにその特異なカルシウムシグナルがインスリン分泌にどのような影響を及ぼすか検証した。その為に、単離膵島におけるカルシウムイメージとインスリン分泌の測定を同時に行う実験系の確立を試みた。具体的にはマイクロ流路に単一の単離膵島を固定し、灌流下でのカルシウムイメージングを行いながらその灌流液を経時的に回収し、ELISA法によって灌流液中のインスリン濃度を測定することで膵島からのインスリン分泌量を求める実験系を確立した。マイクロ流路や単離膵島の固定方法加えて、単一膵島から灌流液中に分泌されたインスリンを測定するために最適な感度のELISA法の検討を行った。
その結果インスリンの分泌は予期した通りにカルシウムオシレーションとほぼ同様の動態でオシレーションしていることが確認された。また、そこにアセチルコリン受容体アゴニスト刺激を行ったところ、特筆すべきインスリン分泌動態が観察された。
さらには、これまで行ってきたパルス状のアセチルコリン受容体刺激に加えて低濃度で持続的な刺激についてのカルシウムイオン動態の観察及びインスリン分泌における影響も評価した。いずれもこれまでの知見から予想される反応とは異なるやや特異な反応が観察された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2年目で予定していた、IP3シグナルのインスリン分泌における影響を評価することに成功した。灌流下において単離膵島のカルシウムイメージングを行いながらのインスリン分泌の測定はこれまでにもあまり例がなく、極めて困難な実験系の確立に成功している。さらにはこの実験系により、これまでにあまり注目されていなかったアセチルコリン受容体刺激のインスリン分泌における影響について新しい知見を得た。

今後の研究の推進方策

今後はIP3シグナルを阻害することが可能な遺伝子改変マウスから採取した膵島でも同様の実験を行い、高濃度でパルス状の刺激と低濃度で持続的な刺激で見られたインスリン分泌における反応がIP3シグナル依存的であるかどうかについて研究を進めて行く予定である。また、今年度新たに発見した低濃度で持続的なアセチルコリン受容体刺激に対する特異な反応についてより詳細なカルシウム及びインスリン分泌の動態を解析する。加えてその分子的な基盤を明らかにするために、IP3シグナルを阻害することが可能な遺伝子改変マウスを中心に研究を進めていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

物品価格高騰により研究に使用する消耗品を従来よりも価格が低いものへと変更したため。
差額分は予定していた消耗品の購入量を増やし、実験の例数を増やすことでより信頼性の高いデータを得ることにあてる予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 膵β細胞におけるMICU1によるミトコンドリアカルシウムシグナルの厳密な制御2023

    • 著者名/発表者名
      太向勇
    • 学会等名
      第97回日本薬理学会年会

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公開日: 2024-12-25  

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