研究実績の概要 |
生体膜を構成するリン脂質から産生されるリゾリン脂質には、LPAやスフィンゴシン1-リン酸 (S1P) など生理活性を示すものが知られている。以前に申請者らは、LPAの2つの受容体(LPA4とLPA6)が促す血管新生の分子機構を明らかにした(Yasuda et al., J. Clin. Invest., 2019)。一方、血管新生に次いで起こるリンパ管新生においてもLPAが重要であることは示唆されているが (Sumida et al., Blood, 2010)、その生体内における役割や分子機構はよくわかっていない。これまでに、LPA4とLPA6はリンパ管内皮細胞 (LEC) に発現し、リンパ管弁形成に必須の転写因子の発現量を制御すること、及びLEC特異的LPA4/LPA6欠損マウスはリンパ管新生異常と弁形成の消失を呈し、重篤な浮腫のためにほとんどが胎生致死となることを見出した。これらの成果は昨年までに3つの招待講演(2022年と2023年の日本生化学会、および2022年のJVBMOシンポジウム)で発表した。
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