• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

BLT2受容体を活性化する新奇脂肪酸の同定と腸管バリア機能における役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K06888
研究機関順天堂大学

研究代表者

奥野 利明  順天堂大学, 大学院医学研究科, 非常勤講師 (60361466)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードLTB4 / 急性進行性糸球体腎炎 / BLT1
研究実績の概要

申請者らは、ロイコトリエンB4(LTB4)第1受容体BLT1と第2受容体BLT2を同定し、遺伝子欠損マウスの解析などから、BLT1とBLT2を介した多彩な生理作用を明らかにしている。急性進行性糸球体腎炎は、急速に腎機能が低下し、最悪末期腎不全に至る可能性のある病気である。本年は急性進行性糸球体腎炎におけるLTB4とBLT1の役割を解明することができた。
抗糸球体基底膜抗体を含む羊血清とイムノグロビン投与により糸球体障害を生じるマウス腎炎モデルを確立したところ、血清投与6時間後に好中球が糸球体に浸潤すること、及び好中球除去によって腎炎の症状が大きく軽減することを見出した。さらに好中球の走化性因子であるLTB4を質量分析計を用いて定量したところ、血清投与後1時間をピークとするLTB4産生上昇を観察した。次にLTB4の合成酵素であるLTA4水解酵素欠損マウスとBLT1欠損マウスを用いて腎炎モデルの解析を行ったところ、野生型マウスと比べて糸球体腎炎の症状が軽減されることを見出した。さらに野生型マウスにBLT1拮抗薬を投与すると、腎炎の症状が軽減すること、またヒト糸球体腎炎患者の腎生検サンプルで、多くのBLT1陽性細胞が糸球体に集積することを見出した。
これらの結果は、LTB4-BLT1シグナルが糸球体への好中球集積を促進することで腎炎の重症化に関わることを示唆している。本研究により、LTB4-BLT1シグナルを阻害することが急性進行性糸球体腎炎の予防や治療につながる可能性を明らかにすることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

急性進行性糸球体腎炎におけるLTB4とBLT1の役割を明らかにできたから。

今後の研究の推進方策

腸内細菌が産生する脂肪酸のBLT2を介した役割を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

予定していた海外出張を取りやめたため。細胞培養や質量分析の消耗品費として使用する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Identification and characterization of bioactive metabolites of 12-hydroxyheptadecatrienoic acid, a ligand for leukotriene B4 receptor 2.2023

    • 著者名/発表者名
      Yasukawa K, Okuno T, Ogawa N, Kobayashi Y, Yokomizo T.
    • 雑誌名

      J. Biochem.

      巻: 174 ページ: 293-305

    • DOI

      10.1093/jb/mvac105.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] The leukotriene B4 /BLT1-dependent neutrophil accumulation exacerbates immune complex-mediated glomerulonephritis.2023

    • 著者名/発表者名
      Shioda R, Jo-Watanabe A, Okuno T, Saeki K, Nakayama M, Suzuki Y, Yokomizo T.
    • 雑誌名

      FASEB J.

      巻: 37 ページ: e22789

    • DOI

      10.1096/fj.202201936R.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Attenuated Expression of SLCO2A1 Caused by DNA Methylation in Pediatric Inflammatory Bowel Disease.2023

    • 著者名/発表者名
      Ito N, Kudo T, Eguchi H, Jimbo K, Furuhata A, Okuno T, Takeuchi I, Arai K, Ishige T, Okazaki Y, Shimizu T.
    • 雑誌名

      Inflamm Bowel Dis.

      巻: 29 ページ: 1920-1928

    • DOI

      10.1093/ibd/izad116.

    • 査読あり
  • [備考] Publications

    • URL

      https://sites.google.com/view/jbio1/publications?authuser=0

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi