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2023 年度 実施状況報告書

肝臓の組織構築におけるNrf2の新たな機能

研究課題

研究課題/領域番号 22K06906
研究機関東京大学

研究代表者

田口 恵子  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (20466527)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードNrf2 / Keap1 / 遺伝子改変ラット / 肝臓
研究実績の概要

Keap1-Nrf2システムは、酸化ストレスや毒物により活性化して、抗酸化酵素や解毒代謝酵素をコードする遺伝子の発現を亢進する生体防御機構である。これまでは遺伝子改変マウスを用いた解析が進んでいたが、ゲノム編集技術によって遺伝子改変ラットの作出が可能になった。そこで、過剰なNrf2活性化による生体影響を調べるために、Keap1欠失ラットを作出した。
Keap1欠失(K0)ラットの肝臓では、門脈域周囲の肝内胆管が形成されず、黄疸を呈して生後1日以内に死亡した。Keap1::Nrf2ヘテロ欠失(K0N1)ラットは生後1週間以上で半数程度、また、Keap1::Nrf2二重欠失(K0N0)ラットは完全に致死性を回避することができた。そのため、K0ラットにおけるNrf2の過剰な活性化が胆管無形成の原因であると考えられた。そこで、野生型(K2)、Keap1ヘテロ欠失(K1)、K0、K0N1、およびK0N0ラットの5遺伝子型を用いて、0日齢の肝臓を標的臓器としてRNAシークエンス解析によって網羅的に遺伝子発現を調べた。肝内胆管形成不全により黄疸を呈するヒトの病態であるアラジール症候群では、Notch1/2やそのリガンドであるJag1の遺伝子変異による発現低下が原因とされている。K0ラットではこれらの遺伝子の発現低下は認められなかったが、アラジール症候群患者とアラジール症候群モデルJag1変異マウスの肝臓で共通して発現が変動する遺伝子群を調べてみると、K0ラットでもその約70%の遺伝子が同様に変動していることがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Keap1欠失ラットから摘出した肝臓を用いて、予定通りRNAシークエンスを実施した。

今後の研究の推進方策

Keap1欠失ラットは生後1日以内に死亡するため、生体解析が限定された。Keap1::Nrf2ヘテロ欠失(K0N1)ラットは生後1週間以内の致死性を回避できれば半数程度生存した。K0N1ラットは成長遅延がみられることがわかったので、K0N1ラットを用いて、K0ラットで表現型が顕著であった肝臓以外の他臓器も含めて解析を進め、Nrf2の過剰な活性化がもたらす病態を解析する。Keap1::Nrf2二重欠失(K0N0)ラットは野生型ラットと同様に生育するのでK0N1ラットの対照として用いる。

次年度使用額が生じた理由

年度途中に所属先を異動し、研究の立ち上げに時間を要したため

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Metabolic reprogramming in Nrf2-driven proliferation of normal rat hepatocytes2023

    • 著者名/発表者名
      Kowalik Marta A., Taguchi Keiko, Serra Marina, Caddeo Andrea, Puliga Elisabetta, Bacci Marina, Koshiba Seizo, Inoue Jin, Hishinuma Eiji, Morandi Andrea, Giordano Silvia, Perra Andrea, Yamamoto Masayuki, Columbano Amedeo
    • 雑誌名

      Hepatology

      巻: 79 ページ: 829~843

    • DOI

      10.1097/HEP.0000000000000568

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] NRF2活性化がん:古き実験動物モデルから診断と治療に向けて2023

    • 著者名/発表者名
      田口恵子
    • 学会等名
      第50回日本毒性学会学術年会
    • 招待講演
  • [学会発表] NRF2-activated Cancers and Toxicology2023

    • 著者名/発表者名
      Keiko Taguchi, Masayuki Yamamoto
    • 学会等名
      10th International Congress of Asian Society of Toxicology (ASIATOX-X)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [備考] 東京大学 大学院 農学生命科学研究科 応用生命化学専攻 食糧化学研究室

    • URL

      https://park.itc.u-tokyo.ac.jp/foodchem/

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公開日: 2024-12-25  

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