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2022 年度 実施状況報告書

小胞輸送関連パーキンソン病原因遺伝子群が関与する共通の膜輸送機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K06916
研究機関順天堂大学

研究代表者

井下 強  順天堂大学, 大学院医学研究科, 非常勤助教 (20601206)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードパーキンソン病 / 神経科学 / 小胞輸送 / LRRK2
研究実績の概要

高齢化が進む本邦では、加齢を発症要因の一つとするパーキンソン病(以下PD)患者は、増加している。しかし、根本的治療法は未だ解明されていない。そのため、発症機序の早期解明と新たな治療標的遺伝子の探索が求められている。
本研究では、PD関連遺伝子の機能欠失が示す共通の表現型の探索、関連遺伝子間の相関を解析することで鍵となる遺伝子を特定すること、さらに、共通の表現型に関わる遺伝子とカギとなる遺伝子の相関を明らかにすることで、新規治療標的遺伝子の特定を試みている。これまでに、モデル生物であるショウジョウバエを用い、PD原因遺伝子LRRK2が複数のPD関連遺伝子と相関することを明らかにしている。また、神経軸索で輸送され、神経伝達物質の放出に関わるSmall GTPase, Arl8や有芯小胞の局在が、LRRK2やLRRK2と相関のあるVps35, INPP5Fなど複数のPD関連遺伝子の機能欠失により変化することが明らかにしてきた。そこで、本年度は、Arl8や有芯小胞の軸索輸送に関わるモータータンパク質遺伝子とLRRK2の相関を解析した。その結果、順行性の軸索輸送を担うUnc-104とLRRK2の関連を明らかにした。LRRK2欠失個体の運動神経では、Arl8や有芯小胞がシナプス終末に集積する。Unc-104の過剰発現も、同様の表現型を示した。一方、Unc-104の機能欠失とLRRK2の機能欠失の両方を持つ個体では、このArl8のシナプス終末での集積が抑制されていた。別の順行性輸送制御遺伝子Khcや逆行性輸送のモータータンパク質の欠失とLRRK2の欠失を組み合わせてもこうした相関は見られなかった。本研究の成果から、Unc-104により制御されている有芯小胞の順行性輸送を正常化することがPDの治療や進行を抑制する可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

必要な遺伝子欠失ショウジョウバエ系統や異所発現系統は既に入手しており、有芯小胞の動きを生体内で追跡可能な蛍光タンパク質ラベル系統も入手済みであり、実験結果をiScienceにて発表することができている。

今後の研究の推進方策

ショウジョウバエを用いた研究から、LRRK2とUnc-104の相関が明らかになった。そこで、ヒト細胞や病理剖検脳切片を用い、分子生物学的手法や組織染色により、ヒトの神経細胞でもLRRK2とUnc-104の分子的な関連を明らかにし、関連が期待できるGTPase, Rab3や有芯小胞の局在に関わる脂質組成に関わるホスホイノシタイドとの関連を解析していく。

次年度使用額が生じた理由

実験試薬や抗体、実験機器の一部が、他の研究グループ購入分の残りを使用することができたため、当初予定していた本年度の新規購入が必要なかったため。
次年度では、培養細胞を用いるため、ヒト培養細胞やその培地などの購入、ヒト培養細胞で使用可能な抗体などを購入する。また、引き続き、ショウジョウバエ飼育のための資材、継代のための補助員の人件費として使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Parkinson disease-associated Leucine-rich repeat kinase regulates UNC-104-dependent axonal transport of Arl8-positive vesicles in Drosophila2022

    • 著者名/発表者名
      Tsuyoshi Inoshita, Jun-Yi Liu, Daisuke Taniguchi, Ryota Ishii, Kahori Shiba-Fukushima, Nobutaka Hattori, Yuzuru Imai
    • 雑誌名

      iScience

      巻: 22 ページ: 105476

    • DOI

      10.1016/j.isci.2022.105476

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2023-12-25  

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