研究課題/領域番号 |
22K06917
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
森 一憲 昭和大学, 薬学部, 講師 (60349040)
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研究分担者 |
日暮 大渡 昭和大学, 薬学部, 助教 (50882487)
柴沼 質子 昭和大学, 薬学部, 教授 (60245876)
石川 文博 昭和大学, 大学共同利用機関等の部局等, 講師 (60515667)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | integrin beta4 / 転移抑制 / Rac1 / 細胞接着 |
研究実績の概要 |
申請者らは、転移過程のうち「癌細胞が体循環に移行してから遠隔組織に定着するまでの過程」に着目し、癌細胞は浮遊した後も再び基質へ接着できる『再接着能』を有していること、またRac1活性によりintegrin b4 (b4) の分解が抑制され、分解を免れたb4が癌細胞の遠隔組織への接着を可能にしていることを見出した。 本課題では、Rac1活性によるb4の分解抑制機構を明らかにするため、Rac1の下流でb4の分解を抑制的に制御するRac1エフェクター分子の同定を試みた。 細胞膜上のintegrin分子は、endocytosisによりendosomeに取り込まれ、その後、初期endosomeからlysosomeへ至る経路とリサイクル経路に分別される。この過程のうち、b4を含むendosomeのlysosome経路への分別が、Rac1活性により抑制されている可能性が高いと考えられた。そこで、Rac1のエフェクターのうち、これら分子種を制御するTBC1D2A、WAVEなどを候補分子とし調べた。その結果、Rab7 GTPaseのGTPアーゼ活性化タンパク質であるTBC1D2Aが、b4の分解を抑制するRac1エフェクター分子であることを明らかにした。 未だ有効な抑制手段が存在しない癌の転移過程に関して、体循環後の癌細胞の『再接着能』に焦点を当てた検討を引き続き行う。本課題の成果は、再接着能による転移制御機構として、新たな知見を与えるだけでなく、転移抑制のための新たな治療戦略の提案につながると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Rac1下流のエフェクター分子の中から、b4の分解抑制に働く分子を特定したため、おおむね順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
乳癌細胞ではRac1活性が接着喪失後も維持されており、この活性維持が浮遊状態でのb4の安定化に寄与している。そこで、なぜ乳癌細胞でRac1の活性が維持されているか明らかにするため、Rac1を活性化する分子の同定を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
使用する試薬などの消耗品は、キャンペーンを利用して購入したため、使用予定額に達しなかった。余った助成金は翌年度の助成金とともに、研究を行うために必要な試薬類やプラスチック容器などに使用する。
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