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2022 年度 実施状況報告書

がん微小環境における細胞間シグナルによる腫瘍免疫制御

研究課題

研究課題/領域番号 22K06926
研究機関神戸大学

研究代表者

村田 陽二  神戸大学, 医学研究科, 准教授 (60400735)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードがん微小環境 / がん細胞 / 自然免疫系細胞 / 腫瘍免疫制御 / 細胞間シグナル
研究実績の概要

本研究課題では、CD47-SIRPα系およびSIRPβを介した自然免疫系細胞のがん細胞に対する免疫応答とその制御機構をより理解しようと試み、本年度は以下の研究成果を得た。
(1) CD47-SIRPα系を介したマクロファージおよび樹状細胞によるT細胞、NK細胞の抗腫瘍免疫制御における役割: CD47-SIRPα系をブロックする抗SIRPα抗体は、in vitroにおいて骨髄由来樹状細胞のケモカイン依存的な細胞運度やT細胞の遊走に関わるケモカインの産生にほとんど影響を示さず、骨髄由来樹状細胞のこれら機能制御においてCD47-SIRPα系の関与は低いものと考えられた。一方、抗SIRPα抗は骨髄由来マクロファージの細胞進展を促進を引き起こすことが確認され、マクロファージの細胞形態の制御にSIRPαおよびCD47-SIRPα系が関与する可能性を見出した。さらに、CD47-SIRPα系を介した抗腫瘍免疫応答を解析する中で、樹状細胞の増殖異常により生じるランゲルハンス組織球症のモデルマウスにおいてCD47-SIRPα系をブロックする抗SIRPα抗体が病的な樹状細胞の生体内からの排除を促進することが認められ、この排除には少なくともマクロファージが関与する可能性が高いことが見出された。
(2)マクロファージ 、樹状細胞、好中球におけるSIRPβのがん免疫監視における役割とその制御機構: SIRPβシグナルを特異的に制御する目的で、新規にSIRPβ特異抗体の取得を試み、複数種のモノクローナル抗体が得られた。さらに、それらの抗体が自然免疫系細胞の直接的ながん細胞に対する細胞傷害活性を惹起することがin vitroにおいて確認され、SIRPβが自然免疫系細胞の抗腫瘍作用を高める分子として機能する可能性が見出された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

SIRPαおよびSIRPβに特異的に作用する抗体や遺伝子改変マウスを用いた解析を通じて、CD47-SIRPαおよびSIRPβが抗腫瘍免疫応答と密接に関連する自然免疫系細胞である樹状細胞、マクロファージ、好中球の細胞機能の制御に関与するかについて、概ね順調に結論が得られつつある。

今後の研究の推進方策

前年度と同様に、SIRPαおよびSIRPβに特異的に作用する抗体と遺伝子改変マウスなどを用い、マクロファージ、好中球、樹状細胞を介した抗腫瘍免疫応答におけるSIRPαまたはSIRPβの作用とその機序の解明を継続して進める。さらに、新規に作製した抗SIRPβ抗体を利用することで、SIRPβが新規の癌治療標的分子となり得るかについて、腫瘍モデルマウスを用いた解析を進める。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Targeting of SIRPα as a potential therapy for Langerhans cell histiocytosis2023

    • 著者名/発表者名
      Okamoto Takeshi、Murata Yoji、Hasegawa Daiichiro、Yoshida Makiko、Tanaka Daisuke、Ueda Takashi、Hazama Daisuke、Oduori Okechi S.、Komori Satomi、Takai Tomoko、Saito Yasuyuki、Kotani Takenori、Kosaka Yoshiyuki、Maniwa Yoshimasa、Matozaki Takashi
    • 雑誌名

      Cancer Science

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1111/cas.15758

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] The Role of Type-2 Conventional Dendritic Cells in the Regulation of Tumor Immunity2022

    • 著者名/発表者名
      Saito Yasuyuki、Komori Satomi、Kotani Takenori、Murata Yoji、Matozaki Takashi
    • 雑誌名

      Cancers

      巻: 14 ページ: 1976~1976

    • DOI

      10.3390/cancers14081976

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 自然免疫系細胞の制御によるSIRPファミリー分子を標的とする新規がん治療法の開発2022

    • 著者名/発表者名
      的崎尚、村田陽二、齊藤泰之、小谷武徳
    • 学会等名
      第81回日本癌学会学術総会
  • [学会発表] マクロファージ SIRPβ1を標的とした新たながん免疫療法2022

    • 著者名/発表者名
      村田陽二、坂本茉莉子、高井智子、齊藤泰之、小谷武徳、的崎尚
    • 学会等名
      第81回日本癌学会学術総会
  • [学会発表] マクロファージによるがん細胞貪食を制御する分子基盤の解明2022

    • 著者名/発表者名
      小谷武徳、高井智子、齊藤泰之、村田陽二、的崎尚
    • 学会等名
      第81回日本癌学会学術総会
  • [学会発表] 新規ヒト化マウスを用いたマクロファージを介した抗腫瘍効果の前臨床評価モデル2022

    • 著者名/発表者名
      齊藤泰之、飯田理恵、小森里美、小谷武徳、村田陽二、横崎宏、的崎尚
    • 学会等名
      第81回日本癌学会学術総会
  • [学会発表] 細胞間シグナルCD47-SIRPα系による細胞貪食制御機序とその新規がん治療法への応用2022

    • 著者名/発表者名
      小谷 武徳、高井智子、小森里美、齊藤 泰之、村田 陽二、的崎 尚
    • 学会等名
      第95回日本生化学会大会
  • [備考] 神戸大学大学院 医学研究科 生体シグナル分野ホームページ

    • URL

      https://www.med.kobe-u.ac.jp/tougou/signal/Home.html

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公開日: 2023-12-25  

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