研究課題
ユビキチン様タンパク質(UBL)によるタンパク質修飾は、限られたゲノム情報を増幅し、オートファジーや抗ウイルス経路を含む多様な細胞内プロセスを制御する。UFM1システムはユビキチン様修飾システムの一つであり、基質タンパク質をUFM1修飾することで、基質の機能変換を引き起こす。UFM1システムは、小胞体関連タンパク質分解、小胞体でのリボソーム関連品質管理(ER-RQC)、小胞体のオートファジー(ER-phagy)に関与することが報告されているが、UFM1システムが異なる小胞体関連機能をどのように制御しているかは依然として不明である。今回、我々はUFM1の新規基質として、小胞体膜に局在するNADH-シトクロムb5還元酵素3(CYB5R3)を同定した。CYB5R3のUFM1化は、小胞体上のUFM1 E3リガーゼコンポーネントであるUFL1およびUFBP1に依存しており、UFM1化によりCYB5R3の構造変換が起こることが示唆された。UFM1化CYB5R3は小胞体ごとリソソームにおいて分解されると考えられるが、この分解にはオートファジー関連タンパク質Atg7と選択的オートファジー受容体タンパク質CDK5RAP3が必要であった。CYB5R3やUFM1システムに関わる遺伝子の変異は小頭症を伴う小児てんかん性脳症を引き起こすことが知られているが、Ufmylation欠損Cyb5r3ノックインマウスも小頭症を呈した。これらの結果は、UFM1化を介したER-phagy障害が小児てんかん性脳症の原因となることを示唆する。
1: 当初の計画以上に進展している
研究課題であるUFM1修飾による小胞体選択的オートファジーの制御機構についてまとめ学術誌に報告した。
Alphafold2を用いてE3複合体の構造予測を行った。得られた構造から相互作用領域・モチーフの変異体を作製しE3複合体の機能解析を行うことで小胞体関連機能の制御機構を解析予定である。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)
Nature Communications
巻: 13 ページ: -
10.1038/s41467-022-35501-0