研究課題/領域番号 |
22K06940
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
山川 けいこ 香川大学, 医学部, 技術職員 (20855704)
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研究分担者 |
松田 陽子 香川大学, 医学部, 教授 (20363187) [辞退]
岡野 圭一 香川大学, 医学部, 教授 (20314916)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 2光子励起顕微鏡 |
研究実績の概要 |
2光子励起顕微鏡による癌診断の有用性を明らかにするため、本年度は、2光子励起顕微鏡を用いて未固定、未染色で①培養細胞を用いた観察条件の決定、②培養細胞における自家蛍光量の解析、③手術検体における線維化領域の検出を行った。 培養細胞を用いた実験では、膵癌細胞株(PANC-1, PK-1, PK-8, PK-45P)、不死化膵管上皮細胞株(HPDE6)、線維芽細胞株(HFL-1)を用いて、過去の検討結果を参考に、励起波長720,760,860,900nm、検出波長410~581nmにおける自家蛍光像を撮影し、画像解析を行った。すべての細胞において励起波長760nm、検出波長410~495nmにおいて最も強く自家蛍光を認めた。PANC-1ではHPDE6と比較して細胞質の自家蛍光輝度が有意に高値であり、核周辺に凝集していた。また、膵癌細胞株による比較ではPANC-1とPK-8の自家蛍光輝度が他の細胞株と比較して有意に高値であった。また、HFL-1では励起波長760nmに加え860,900nm、検出波長541~581nmでも自家蛍光像を得ることができた。これらの結果より、癌細胞、非癌細胞、線維芽細胞を自家蛍光像で区別できる可能性が示唆された。 手術検体を用いた実験では、癌部と非癌部の膵組織を励起波長860nm、検出波長460~500nmで観察し青色の蛍光像を得た。観察後の組織を10%中性緩衝ホルマリンで固定後、組織標本を作製し、HE染色とアザン染色を行った。二光子励起顕微鏡での検出領域はアザン染色における線維化領域と相関していた。また、癌部では非癌部よりも線維化の領域が有意に増加していた。このことから、二光子励起顕微鏡を用いることにより固定、染色をせずに組織の線維化を評価することが可能であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2光子励起顕微鏡での観察条件の決定について、現在、観察時の培地はフェノールレッド、血清不含のRPMI1640培地を使用しているが、その他の培地や保存温度による自家蛍光像の影響は検討できていない。自家蛍光像を観察するために最適な励起波長、検出波長については、培養細胞を用いた検討の結果、励起波長、検出波長ともに最適な波長を決定することができ、癌細胞における自家蛍光像の特徴を把握することができた。組織を用いた検討では、2022年度後半で組織観察に使用していた2光子励起顕微鏡が故障し、使用できない状況であるが、既に観察した18例を用いて解析・評価を行い学会発表した。
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今後の研究の推進方策 |
細胞内自家蛍光物質であるNAD(P)H 、FAD量と2光子励起顕微鏡による自家蛍光輝度との相関性を解析する。また細胞の状態が自家蛍光輝度にどのように影響するのかを明らかにするため、膵癌細胞における解糖系の抑制、ミトコンドリア機能の抑制など細胞内代謝変化により自家蛍光像がどのように変化するのか解析する。また、ゲムシタビン、5-FU投与、アポトーシス誘発剤、細胞周期阻害剤投与時の細胞の自家蛍光像を観察し、細胞の状態が自家蛍光像にどのような変化をもたらすのかを明らかにする。膵組織を用いた実験では、症例数が少ない状況ではあるが、過去の膵癌症例の病理組織切片も含めて、線維化、癌細胞、非癌細胞の解析を行う方針である。
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