研究課題/領域番号 |
22K06950
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
竹内 真衣 久留米大学, 医学部, 講師 (10759666)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ホジキンリンパ腫 / 免疫微小環境 / デジタル空間プロファイリング |
研究実績の概要 |
本研究ではデジタル空間プロファイリングと免疫染色を用いてホジキンリンパ腫の免疫微小環境の検討を行った。ホジキンリンパ腫は腫瘍細胞である大型のHodgkin-Reed-Sternberg細胞(以下HRS細胞)周囲を非腫瘍性のCD4陽性T細胞が取り囲むことが特徴的であり、T細胞ロゼットと呼ばれている。T細胞ロゼットは様々な免疫チェックポイント分子を発現しており、HRS細胞とT細胞ロゼットの相互作用はホジキンリンパ腫の免疫微小環境に重要であることが報告されている。デジタル空間プロファイリングは病理検体などのホルマリン固定パラフィン切片上で特定の細胞集団や領域を指定し、位置情報と紐づけられた遺伝子発現解析を行う手法である。我々は8例のホジキンリンパ腫の病理検体を用いてGeoMx digital spatial profiler (NanoString Technologies, Seattle, USA)によるデジタル空間プロファイリングを行い、HRS細胞周囲のT細胞ロゼットとHRS細胞から離れたその他のCD4陽性T細胞の遺伝子発現を比較することでT細胞ロゼットに特徴的な遺伝子発現プロファイリングについて検討した。結果、T細胞ロゼットではその他CD4陽性T細胞と比較して免疫チェックポイント分子のOX-40の発現上昇が有意に上昇していた。また、PD-1とCTLA-4についても発現上昇傾向が認められた。免疫染色でこれらの免疫チェックポイント分子はT細胞ロゼットに発現がみられた。これらの免疫チェックポイント分子がT細胞ロゼットとHRS細胞の相互作用に重要である可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、患者検体を用いたデジタル空間プロファイリングの解析と免疫染色での確認を終了しており順調な進展と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
研究成果を海外誌に投稿し、minor revisionで再投稿中である。今後、デジタル空間プロファイリングでT細胞ロゼットに発現上昇が見られた遺伝子についてPhenocycler (Akoya Bioscience, CA, USA)による多重蛍光染色を用いたマルチプレックス空間解析を行い、シングルセル単位での空間解析を追加する予定である。
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