研究実績の概要 |
DNAメチル化解析を組織形態学的解析と遺伝子検索に統合し、治療奏効性や予後の予測に資する新しい小児脳腫瘍分類を策定するため、小児脳腫瘍及び成人に発生した小児型脳腫瘍のDNAメチル化プロファイルによる特徴づけを行なった。 Illumina Infinium Methylation EPIC BeadChip arrays (Illumina, Inc., San Diego, CA, USA)によって取得されたゲノムワイドDNAメチル化アレイデータから、近年、新しい脳腫瘍分類法として用いられるDNAメチル化分類を、ドイツがんセンター(Deutsches Krebsforschungszentrum, DKFZ)が公開するウェブツール (DKFZ Classifier) を用いて取得した。 しかし、DKFZ Classifierは、教師あり機械学習であるランダムフォレスト法を応用しており、正解・不正解が与えられる場合や、大量のデータが用意できる場合に予測精度が高いものの、小児脳腫瘍は組織型ごとに十分な症例数が集積できず、学習データセットに含まれない組織型(中枢神経系胚細胞腫や小児特有の希少な組織型)もある。また、希少腫瘍型では十分なデータセットが得られず、正確なDNAメチル化分類結果が得られるか不明である。 そこで、DNAメチル化プロファイルを可視化するために非線形性次元削減法を併用して、既知の中枢神経系腫瘍との類似性を明らかにしたほか、詳細なゲノムワイドコピー数解析を行った。バ イ オ イ ン フ ォ マ テ ィ ク ス 解 析 は 、 R (RFoundation for Statistical Computing, Vienna, Austria) にminfiやRtsneを含む複数の解析パッケージを組み合わせ、解析パイプラインを確立した。
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