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2022 年度 実施状況報告書

肺腺癌におけるTMB-high予測のための深層学習モデルの構築と検証

研究課題

研究課題/領域番号 22K06953
研究機関静岡県立静岡がんセンター(研究所)

研究代表者

増田 達也  静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, 研究員 (20934590)

研究分担者 芹澤 昌邦  静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, 研究員 (00569915)
井坂 光宏  静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, 研究員 (20838700)
河田 卓也  静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, 研究員 (30792494)
大出 泰久  静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, 研究員 (40631552)
小野 哲  静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, 研究員 (50441027)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード遺伝子変異量 / 肺腺癌 / 人工知能 / デジタル病理画像 / 深層学習
研究実績の概要

非小細胞肺癌に対する免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の使用においては、腫瘍細胞におけるPD-L1 の高発現と生存期間が正に相関することが示されている。しかしながら、PD-L1発現が陰性でもICIによる治療で奏功が得られることが報告されており、PD-L1の発現の多寡のみではICIによる治療効果予測は充分ではない。遺伝子変異量高値群(TMB-H)では、腫瘍特異抗原(ネオアンチゲン)の発現が高くT細胞の認識を受けやすくなることから、ICIの効果が高いと考えられており遺伝子変異量(TMB)はICIの治療効果を予測する新たなバイオマーカーとして期待されている。本研究では、人工知能(AI)を活用し、肺腺癌の病理組織学的情報を分析、処理することで、肺腺癌のTMB-Hを自動予測するシステムの構築を目的とした。これに関連し、本年度においては下記の研究を行った。
肺腺癌の手術症例541例のTMBを算出し、TMBの分布についてヒストグラムを作製した。今まで報告されている欧米のものと異なり、ヒストグラムは二峰性分布を示したので、統計学的解析の上で、その分布の谷のTMBの値8.8 mut/Mbをカットオフ値に設定し、TMB>8.8 mut/MbをTMB-H、TMB≦8.8を遺伝子変異量低値群(TMB-L)と定義した。症例中、TMB-Hは60症例、TMB-Lは481例認めた。そのうち、TMB-H45症例(ヘマトキシリン・エオジン(HE)染色切片122枚、TMB-L400症例(HE染色切片388枚)を病理デジタルスライド化にすることが可能であった。現在、腫瘍領域のアノテーションを行い、トレーニングセット(TMB-H/L 102/308枚)をAIに学習させ、テストセット(TMB-H/L 20/80枚)を用いて閾値50%で設定し肺腺癌のTMB-Hを自動予測するモデルを構築している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定通り、TMB-H自動予測モデルの構築に必要な病理スライドの選別、およびそのスライドのデジタル病理画像化(Whole slide imaging (WSI))が可能であったため。

今後の研究の推進方策

今後は、深層学習、アノテーション領域、解像度などの設定を調整し、AIによる解析の最適化を行う。そして、2018年10月から2021年4月までの肺腺癌の手術症例320例を追加で全エキソン解析し、TMBの多寡を算出してTMB-H/L症例病理スライドをWSI化する。以上のスライドを学習・テストセットに組み込むことでより実臨床に即した精度の高いTMB-Hを予測するモデルを構築する。さらに、TMB-Hと判定している領域を病理学的に評価し、偽陽性/偽陰性と判断された症例を経験豊富な病理医と病理学的に検討することで、TMB-H肺腺癌の詳細な組織学的特徴(細胞質の大きさ、核異型、腫瘍間質などの形態学的特徴)を解明する。
また、遺伝子発現解析において、TMB-Hに有意に関連する遺伝子発現を抽出、免疫組織化学染色とAIを用いて定量化し、深層学習に組み込むことで、さらなる予測能上昇を試みていく。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナ感染症の流行による海外学会への参加が困難であったことなどによる。翌年度分は、病理スライドの購入や免疫染色のための試薬購入、および解析用のパソコンの購入(現在見積もり算出中)などのための費用として使用する予定である。

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公開日: 2023-12-25  

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