研究課題
本年度は、消化管癌と泌尿器癌の発生・進展に関与する新たな分子の臨床病理学的解析を行なった。以前の検討でその発現消失が早期胃癌の予後不良因子であることが明らかとなったAnnexin A10 (ANXA10)は尿路上皮癌において腫瘍のステージ、組織学的グレード、p53の発現と逆相関することを免疫組織化学的に明らかにした。またANXA10はp53と組み合わせることで尿細胞診の診断精度の向上にも寄与することがわかった。次に、多くの癌でその発現が予後不良因子として知られるMUC1は上部尿路上皮癌において約58%に高発現が見られ、形態学的に非乳頭状構築を示すものや組織学的グレードの高い症例に多く、腫瘍のステージが高く脈管侵襲像の見られるもの、予後不良な症例に有意に多く認められることがわかった。さらにその発現はKi-67、PD-L1、CD44v9、HER2、EGFR、p53など多くのがん関連分子との有意な相関が見られ、前述のANXA10と同様、尿細胞診の診断精度の向上にも寄与することがわかった。最後にがんの微小環境に関与する細胞として細胞質内に免疫グロブリンを含有したMott細胞に注目した。胃癌の粘膜内病変に存在するMott細胞はT grade、N grade、腫瘍のステージの低い症例に多く、ヘリコバクターピロリ菌感染と相関することを明らかにした。さらにCD44とEGFRの発現とも逆相関を示し、その存在は独立した予後良好因子であることがわかった。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 12件、 オープンアクセス 4件)
Journal of Clinical Medicine
巻: 13 ページ: 658~658
10.3390/jcm13030658
Pathobiology
巻: - ページ: 1~11
10.1159/000535542
Oncology
巻: - ページ: 1~12
10.1159/000533791
Diagnostic Pathology
巻: 18 ページ: 106-106
10.1186/s13000-023-01392-y
The American Journal of the Medical Sciences
巻: 366 ページ: 421~429
10.1016/j.amjms.2023.08.012
Pathology International
巻: 73 ページ: 444~455
10.1111/pin.13362
Cancer Cytopathology
巻: 131 ページ: 548~560
10.1002/cncy.22727
Clinical Journal of Gastroenterology
巻: 16 ページ: 521~526
10.1007/s12328-023-01808-8
Cancers
巻: 15 ページ: 1206~1206
10.3390/cancers15041206
Pathology - Research and Practice
巻: 241 ページ: 154277~154277
10.1016/j.prp.2022.154277
巻: 90 ページ: 147~154
10.1159/000525590
巻: 90 ページ: 94~103
10.1159/000524989