研究課題/領域番号 |
22K06966
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
東 守洋 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (00323395)
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研究分担者 |
田丸 淳一 埼玉医科大学, 医学部, 客員教授 (30188429)
百瀬 修二 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (70360344)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 悪性リンパ腫 / DLBCL / CD24 |
研究実績の概要 |
がん免疫療法は、免疫系細胞による腫瘍細胞の排除機構を利用した治療法であるが、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)においては、免疫チェックポイント(IC)阻害剤の効果は限定的である。我々はCD24発現DLBCLが予後不良であり、また“immune-cold” な腫瘍であることを見出した。 本研究においてDLBCLにおけるCD24発現リンパ腫細胞はcancer-immune cycleを停止することにより腫瘍進展に関わっているかをin vitro, in vivo modelを用い、CD24陽性DLBCLの臨床病理学的特徴、腫瘍微小環境構成細胞を解析する。とくにCD24陽性DLBCLがいかなる遺伝子異常を有するかについて、その特徴を検討する。 がん免疫療法は、免疫系細胞による腫瘍細胞の排除機構を利用した治療法である。しかしながら、悪性リンパ腫のうちもっとも多い亜型であるびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)においては、免疫チェックポイント(IC)阻害剤の効果は限定的である。我々は43種のICの発現と予後との関係について検索したところ、CD24を発現したDLBCLが予後不良となることを明らかにした。さらにCD24陽性DLBCLの腫瘍微小環境には、マクロファージや各種T細胞サブセットが減少していることを見出した。このことは、CD24 陽性DLBCLは“immune-cold” な腫瘍であると考えられた。 本研究においてDLBCLにおけるCD24発現リンパ腫細胞はcancer-immune cycleを停止することにより腫瘍進展に関わっているかを目的とし、さらにDLBCLの治療ターゲットとなりうるかについて検討する。 現在、症例の遺伝子解析を進めている。また、腫瘍進展のin silico simulation modelを構築している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
DLBCLの遺伝子変異解析を含めた症例解析は順調で、計画を上回るペースで検索がすすんでる。細胞株を用いたin vitroの解析はやや滞っているが、腫瘍進展simulation modelを作成しin silicoの検索を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
1) CD24陽性DLBCLはいかなる性質を有するか。- CD24陽性DLBCLの特徴について、遺伝子解析を進める。 2) CD24はDLBCLにおいてもdon’t eat me signalとして働くか。- CD24発現の有無によりマクロファージによる貪食に差があるかどうか検証する。CD24発現B細胞リンパ腫細胞株を用いて、CD24ブロッキング抗体の有無、CD47ブロッキング抗体の有無でマクロファージによる貪食に差があるかどうか検討する。マクロファージとしては細胞株(U937, THP-1をPMA刺激でマクロファージに分化させる)および初代培養ヒトマクロファージを使用する。 3) CD24ブロックはあらたな治療薬になりえるか。- simulation modelを構築することにより、in vitroで見られた現象を再現できるin silico modelを構築する。このmodelにより治療ターゲットの検索においてより効果的なターゲット検索に役立てる。
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次年度使用額が生じた理由 |
in vitroの研究を計画したが、computer を使ったsimulation model作成を先に進めたため、使用額との差額が生じた。 次年度、培養細胞を用いたin vitroの実験を行うため、残額は細胞培養や細胞染色に用いる予定である。
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