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2023 年度 実施状況報告書

肺癌における間質形成メカニズムと間質浸潤制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K07000
研究機関名古屋大学

研究代表者

三井 伸二  名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (80646505)

研究分担者 榎本 篤  名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (20432255)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワードCD109 / 肺腺癌 / がん間質 / がん関連線維芽細胞
研究実績の概要

扁平上皮癌・脳腫瘍・肺腺癌・骨肉腫などの多くのヒト腫瘍組織で発現が増強するCD109タンパク質は,これらの腫瘍の発症ないし進展を助長する分子であることが近年明らかとなりつつある.我々は,このCD109を欠損させたCD109ノックアウトマウスを作出し,個体レベルでの解析を行ってきた.このCD109ノックアウトマウス(CD109-/-マウス)と肺腺癌自然発症モデルを交配させ,肺腺癌を発症させたところ,CD109野生型マウス(CD109+/+マウス)に発症した腺癌に比べ,間質浸潤が有意に抑制されることが明らかとなった.加えて,ヒト肺腺癌の間質浸潤部では,癌・間質境界領域の癌細胞にはCD109が,間質側の線維芽細胞にはやはり我々が同定したMeflinがそれぞれ高発現しており,かつ両者が機能的に関連する可能性が見出された.
これまでに,ヒト肺腺癌においてCD109高発現群が低発現群に比べて有意に生命予後不良であることを明らかにするとともに,上述のCD109とMeflinを強制発現させた培養細胞を用いた免疫沈降により,両者が共沈するとの予備的結果が得られている.
さらに,より生理的な条件で両者の相互作用を検討するため,CD109およびMeflinの両者を内因性に発現する細胞株を二種同定することに成功した.現在,本細胞株を用いた免疫沈降法による詳細な解析を継続している.
また,癌・間質境界領域におけるCD109/Meflinの相互作用を組織学的に検討するため,ヒト組織切片を用いた免疫組織化学的解析を行う上での適切な条件設定が完了しており,実際のヒト肺癌症例を用いた解析を実施中である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画に沿って,ヒト肺癌組織におけるCD109およびMeflinの発現パターンを免疫組織化学的に解析した.また,CD109およびMeflinを内因性に発現する細胞株を同定することができた.

今後の研究の推進方策

CD109およびMeflinを内因性に発現する細胞株二種を用いて,引き続きCD109およびMeflinの相互作用を検討するとともに,ヒト肺癌組織を用いた免疫組織化学的解析を継続する.
また,研究計画に沿って,マウス組織を用いた解析を行う予定である.

次年度使用額が生じた理由

研究はおおむね順調に進展しているものの,細胞株を用いた解析の一部が未実施であるため,次年度使用分が生じた.未使用分は今年度実施予定の細胞株を用いた解析に使用する予定である.

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Single-cell colocalization analysis using a deep generative model.2024

    • 著者名/発表者名
      Kojima Y, Mii S, Hayashi S, Hirose H, Ishikawa M, Akiyama M, Enomoto A, Shimamura T.
    • 雑誌名

      Cell Syst.

      巻: 15 ページ: 180-192

    • DOI

      10.1016/j.cels.2024.01.007

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Meflin is a marker of pancreatic stellate cells involved in fibrosis and epithelial regeneration in the pancreas.2024

    • 著者名/発表者名
      Ando R, Shiraki Y, Miyai Y, Shimizu H, Furuhashi K, Minatoguchi S, Kato K, Kato A, Iida T, Mizutani Y, Ito K, Asai N, Mii S, Esaki N, Takahashi M, Enomoto A.
    • 雑誌名

      J Pathol.

      巻: 262 ページ: 61-75

    • DOI

      10.1002/path.6211

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Significance of expression of CD109 in osteosarcoma and its involvement in tumor progression via BMP signaling.2023

    • 著者名/発表者名
      Mori N, Esaki N, Shimoyama Y, Shiraki Y, Asai N, Sakai T, Nishida Y, Takahashi M, Enomoto A, Mii S.
    • 雑誌名

      Pathol Res Pract.

      巻: 245 ページ: 15443

    • DOI

      10.1016/j.prp.2023.154443

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] がん関連タンパク質CD109の骨肉腫における発現と腫瘍進展への関与2023

    • 著者名/発表者名
      三井 伸二,森 奈津美,下山 芳江,髙橋 雅英,榎本 篤
    • 学会等名
      第112回日本病理学会総会
  • [学会発表] GPI アンカー型タンパク質CD109に着目した恒常性維持および腫瘍進展機構の解明2023

    • 著者名/発表者名
      三井 伸二
    • 学会等名
      第69回日本病理学会秋期特別総会
    • 招待講演
  • [学会発表] Meflin, a New Population Maker of Portal Fibroblasts, Suppress Cholangiocarcinoma2023

    • 著者名/発表者名
      伊藤 喜介,白木 之浩,三井 伸二,江﨑 寛季,砂川 真輝,馬場 泰輔,江畑 智希,榎本 篤
    • 学会等名
      第82回日本癌学会学術総会
  • [備考] 腫瘍病理学 分子病理学分野

    • URL

      https://www.med.nagoya-u.ac.jp/patho2/

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公開日: 2024-12-25  

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