研究課題/領域番号 |
22K07014
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
久恒 智博 公益財団法人東京都医学総合研究所, 基礎医科学研究分野, 主席研究員 (10321803)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 筋ジストロフィー / カルシウム |
研究実績の概要 |
肢帯型筋ジストロフィーR1(LGMDR1)は、カルシウム依存性プロテアーゼのCalpain3を責任遺伝子とする進行性の筋ジストロフィーである。その治療法の確立のためにもLGMDR1の発症機序を分子レベルで明らかにする必要がある。2022年度は既報にある小胞体カルシウム貯蔵量に関する知見を土台にLGMDR1の発症メカニズムに関する実験を試みたが、そもそも貯蔵量に関する野生型とカルパイン3欠損マウス筋細胞において違いが自らの実験系で見出せなかった。そこで2023年度は方針を変え、カルパイン3が筋細胞でいつ・どこで活性化するのかをまず明らかにすることにし、その後にカルシウム動態との関連を明らかにすることにした。 その結果、カルパイン3が自己分解されて初めて活性化することを利用し、活性化型カルパイン3を可視化する実験系を確立することができた。この手法を用いてウアバイン投与におけるカルパイン3の活性化を筋細胞で明らかにすることに成功した。また上記刺激条件下で細胞骨格関連分子が分解されることも明らかにした。さらに、この現象はカルパイン3欠損マウスやカルパイン3活性変異体のノックインマウスではみられないことを確認した。加えて、カルパイン3の4次構造がカルパイン3の特異的な自己分解消化パターンと関連することを明らかにした。また、LGMDR1変異体をカルパイン3欠損マウスに発現させ、その筋細胞内局在を筋組織で調べた。その結果、野生型カルパイン3とLGMDR1変異体にはその局在に大きな違いがあることを明らかにし、この変化がLGMDR1の発症に関わることが推測された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度、既報にある野生型とカルパイン3欠損マウスのカルシウム動態の違いが明らかにできなかったため、2023年度は別の視点からLGMDR1の発症メカニズムを明らかにすることにした。その結果、カルパイン3活性化の可視化に成功し、またLGMDR1変異の細胞内での局在異常を明らかにすることができた。LGMDR1の発症メカニズムに関わるカルパイン3の活性化に関わる機構を筋細胞で順調に明らかにできており、遅れを取り戻したので該当評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度ウアバイン刺激時における筋細胞内のカルパイン3の活性化を可視化することに成功した。また、LGMDR1変異体が筋細胞内で異所発現することを明らかにできた。今後はカルパイン3のより生理的な活性化条件を明らかにしていくことが、LGMDR1の発症メカニズムの解明に繋がると考えている。具体的には、筋細胞分化、筋収縮、筋損傷におけるカルパイン3の活性化を確立した手法を用いて調べていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度既報にあるような野生型とカルパイン3のカルシウム動態の違いを確認することができずに想定した実験を実施できなかったため。消耗品費として計上していた額を未使用額として記載した。次年度に必要な実験の消耗品費に追加で使用する。
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