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2023 年度 実施状況報告書

アフリカメダカを使った加齢関連疾患の臓器特異的な病態因子の探索と解析

研究課題

研究課題/領域番号 22K07020
研究機関新潟大学

研究代表者

菱田 竜一  新潟大学, 脳研究所, 准教授 (90313551)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードアフリカメダカ / 老化 / 加齢関連疾患 / 生活習慣病 / サルコペニア
研究実績の概要

1、アフリカメダカ若魚と比較して老魚の脳では、特定の脳部位に神経変性など老化の特徴と思われる病変が観察された。その病変部位の分子的組成を解析するため、2つのトライアル実験をおこなった。ひとつは、顕微鏡下での手術により脳を部位ごとに分離して(終脳・中脳・小脳など)、それぞれを質量分析で解析する実験。もうひとつは、一細胞・微小組織をガラスキャピラリーで単離できるUnipicKシステムを使用する実験である。どちらも、実現可能性を確認できたので、本実験の準備を進めることにした。
2、若魚と老魚から4臓器のサンプルから得たRNA シークエンスのデータについてWGCNA解析をおこなった。21個のモジュールが検出され、そのうち10個のモジュールについては加齢と有意な相関がみられた。
3、細胞生物学的実験に必要な培養細胞系がアフリカメダカでは確立されていない。そこで、比較的容易な初代培養系の確立を、若魚・中年魚・老魚の8臓器(脳・心臓・肝臓・筋肉・腎臓・ヒレ・皮膚・脾臓)で試みた。筋肉とヒレからは初代培養細胞を得られなかったが、それ以外の臓器からは、繊維芽細胞や上皮系細胞などの細胞が培養できた。次に、各臓器由来の細胞に適合する培養ウェル・コーティングについて3条件(poly-L-リジン、ゼラチン、コートなし)の検討をおこなったところ、臓器・年齢・細胞種によって、適したコーティングの条件が異なることを明らかにできた。また、細胞の分裂・増殖が盛んな若魚由来の細胞の方が、加齢が進んだ老魚由来の細胞よりもより多く増殖すると予想したが、培養の様相に目立った差異を見出せなかった。培地組成などの培養条件が影響している可能性もあり、さらなる検討が必要だと考えた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

UnipicKシステムの立ち上げとそのトライアル実験に時間を要した。さらに、SA-β-Gal活性を示す細胞・微小組織を質量分析で解析することを目指した実験では、組織固定奉納などの実験条件の試行錯誤と予備実験にも多くの時間を割いた。

今後の研究の推進方策

1、若魚・老魚の各臓器の組織学的な病態解析を行う。各脳部位の神経変性、肝臓の線維化と脂肪変性、心臓の線維化と肥大および筋肉の萎縮を定量化する。
2、生化学的な病態解析を行う。若魚・老魚の各臓器で、炎症反応をqPCRにより定量する。老化に伴うミトコンドリア数の減少をミトコンドリアDNAの定量によって解析し、ミトコンドリア動態の臓器特性を調べる。
3、加齢関連疾患の臓器特異的な病態因子を探索する。若魚・老魚の4臓器サンプルから得たRNA シークエンスのデータについて行ったWGCNA解析をさらに検討し、ハブとなるドライバー遺伝子の候補を探索する。

次年度使用額が生じた理由

(理由) 実験装置の立ち上げ、幾つかの実験で実験条件の試行錯誤が繰り返し必要となったことにより進捗が遅れた。そのため、研究の進展を遅らさざるを得なくなり、使用する予定であった研究費が未使用となったことから次年度使用額が生じた。
(使用計画) エサ代など飼育関連の物品や、生化学的な病態解析および機能的な病態解析などに必要な物品などの購入に使用する。掛かる消耗品費を次年度以降に繰り越し。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] GPATCH4 contributes to nucleolus morphology and its dysfunction impairs cell viability2024

    • 著者名/発表者名
      Kodera K, Hishida R, Sakai A, Nyuzuki H, Matsui N, Yamanaka T, Saitoh A, Matsui H
    • 雑誌名

      Biochem Biophys Res Commun

      巻: 693 ページ: 149384

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2023.149384

    • 査読あり

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公開日: 2024-12-25  

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