今後の研究の推進方策 |
(1)小腸のグリア細胞から神経細胞や上皮細胞へと働く栄養因子・生理活性物質の異常の解析:腸管グリア細胞から分泌されて神経細胞や上皮細胞に対して働く栄養因子・生理活性物質であるGDNF, BDNF, S100B, prostaglandin, TGF-β1, S-nitrosoglutathione等の産生量や分泌量がこのノックアウトマウスの小腸グリア細胞(初代培養系)で減少しているかを、定量的PCR、Western blotting、ELISA、活性測定によって調べる。 (2)小腸グリア細胞内calcineurin下流シグナルの異常の解析:このノックアウトマウスの小腸グリア細胞でNF-κB p65のリン酸化が増加していることがWestern blottingによってわかったため、同様のことを免疫染色によっても確認する。 (3)分泌減少を起こした栄養因子・生理活性物質の投与効果の解析:ノックアウトマウスの小腸グリア細胞において産生量や分泌量が減少していることが(1)で判明した栄養因子・生理活性物質をノックアウトマウスに腹腔内投与し、小腸の変性・炎症、腸管神経系の形態異常、個体レベルでの成長低下や死亡等が改善されるかを調べる。 (4)抗菌薬や抗炎症薬等の投与効果の解析:ヒト腸炎治療薬として用いられる抗菌薬(シプロフロキサシン、メトロニダゾール等)や抗炎症薬(メサラジン、プレドニゾロン等)をノックアウトマウスに飲水または腹腔内投与し、小腸の変性・炎症、腸管神経系の形態異常、個体レベルでの成長低下や死亡等が改善されるかを調べる。また、マスト細胞安定化薬ケトチフェンを腹腔内投与することでノックアウトマウスの成長低下や死亡が改善することが判明したため、小腸の変性・炎症や腸管神経系の形態異常に関しても改善しているかを調べる。
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