• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

サルマラリア原虫接着分子とヒト受容体の結合解析

研究課題

研究課題/領域番号 22K07043
研究機関長崎大学

研究代表者

坂口 美亜子  長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (50400651)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードPlasmodium knowlesi / サルマラリア原虫 / 二日熱マラリア / 接着現象
研究実績の概要

本研究の目的は、二日熱マラリアの重篤化に関与する Plasmodium knowlesi 寄生赤血球の接着機構を解明するため、P. knowlesi 接着分子が結合するヒト血管内皮細胞の受容体を同定し、相互作用を解析することである。
まず最初に、すでに同定している P. knowlesi 接着分子の7つのシステインリッチドメイン(C1-C7)のうち、どの部位がヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)に結合するのかを評価するため、細胞外領域の全長及び各ドメインを含む小さな領域について GST タグを付与した組換えタンパク質をコムギ胚芽無細胞タンパク質合成系により作製したところ、想定していたよりも組換えタンパク質の収率がよくなく、またあるドメインで高い結合性が示されたものの新たに作製した組換えタンパク質において再現性が得られなかったため、本方法での結合解析は断念することになった。その代わりに、接着分子のドメインの細胞外領域のうちいくつかのドメインを除いた短い接着分子(C1-C4あるいはC4-C7)を発現する組換え P. knowlesi 原虫を作製し、どのドメインが接着に関与するのかについて HUVEC への結合性を評価することにした。
また、HUVEC におけるヒト受容体の同定の際の参考情報とするため、 P. knowlesi 寄生赤血球の接着においてヒト受容体にはタンパク質成分が含まれるのかを確認する目的で、まず培養した HUVEC に対してかなり低濃度のプロテアーゼ処理を行い接着アッセイを試みた。しかし細胞の変形や部分的なプレート上の接着の阻害などが避けられず、ヒト受容体のみをうまく除去することができなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初計画していた P. knowlesi 接着分子の細胞外領域の全長及び各ドメインを含む小さな領域についてコムギ胚芽無細胞タンパク質合成系により作製した組換えタンパク質は、サイズにより収率が芳しくないものがあり、また新たに作製した組換えタンパク質は再現性が得られなかったことから本方法での結合解析は取り止め、その代わりに異なる短いドメインの接着分子を発現する組換え P. knowlesi 原虫を作製し、結合部位の評価を行うこととした。
また、P. knowlesi 接着分子と結合するヒト受容体を評価するため、培養した HUVEC に対してかなり低濃度のプロテアーゼ処理を行ったが、細胞の形態が変形してしまいプレート上での維持が困難なため接着アッセイを行うことができなかった。計画していたプロテアーゼ処理などによるヒト受容体の評価について同定の際の参考情報はまだ得られていないが、次に計画している P. knowlesi 接着分子を用いたヒト受容体候補群の探索には影響がないため、予定通りに実験を行うことが可能である。

今後の研究の推進方策

今後の研究の予定として、新たに作製した P. knowlesi 接着分子ドメインの細胞外領域のうちいくつかのドメインを除いた短い接着分子(C1-C4あるいはC4-C7)を発現する組換え P. knowlesi 原虫を用いて HUVEC に対する接着アッセイを行い、どのドメインが関与するのかについて結合性の評価を行う。
そして、 P. knowlesi 接着分子を用いてヒト受容体候補群の探索を行う。細胞表面をビオチン標識した HUVEC に対し、Myc エピトープタグを標識した P. knowlesi 接着分子を強発現する組換え P. knowlesi 寄生赤血球と共培養して接着させた後、タンパク質架橋剤により P. knowlesi 接着分子と HUVEC 受容体を架橋する。架橋剤の濃度や反応時間等の条件検討により反応を最適化した後、anti-Myc 抗体を用いて試料抽出液から P. knowlesi 接着分子と HUVEC 受容体を共免疫沈降させる。そして、液体クロマトグラフィー質量分析法(LC-MS/MS)により P. knowlesi 接着分子に特異的に特異的に結合する HUVEC 分子を探索し、受容体候補のリストを作成する。

次年度使用額が生じた理由

当初計画していた組換えタンパク質を用いた P. knowlesi 接着分子の結合部位の評価や、HUVEC に対するプロテアーゼ処理などによるヒト受容体の評価に関する接着アッセイができなくなったことから、使用予定としていた培養関係の試薬類や器具類の購入について次年度使用額として回すことになった。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] Effect of geranylated dihydrochalcone from Artocarpus altilis leaves extract on Plasmodium falciparum ultrastructural changes and mitochondrial malate: Quinone oxidoreductase2023

    • 著者名/発表者名
      Hidayati Agriana Rosmalina、Melinda、Ilmi Hilkatul、Sakura Takaya、Sakaguchi Miako、Ohmori Junko、Hartuti Endah Dwi、Tumewu Lidya、Inaoka Daniel Ken、Tanjung Mulyadi、Yoshida Eri、Tokumasu Fuyuki、Kita Kiyoshi、Mori Mihoko、Dobashi Kazuyuki、Nozaki Tomoyoshi、Syafruddin Din、Hafid Achmad Fuad、Waluyo Danang
    • 雑誌名

      International Journal for Parasitology: Drugs and Drug Resistance

      巻: 21 ページ: 40~50

    • DOI

      10.1016/j.ijpddr.2022.12.001

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Identification of surfactin as an anti-severe fever with thrombocytopenia syndrome virus multi-target compound extracted from the culture broth of marine microbes2023

    • 著者名/発表者名
      Urata Shuzo、Takouda Jun、Watanabe Yoshihiro、Sakaguchi Miako、Sakurai Yasuteru、Inahashi Yuki、Iwatsuki Masato、Yasuda Jiro、Tanaka Yoshimasa、Takeda Kohsuke
    • 雑誌名

      Frontiers in Virology

      巻: 2 ページ: 1064265

    • DOI

      10.3389/fviro.2022.1064265

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] SICA-mediated cytoadhesion of Plasmodium knowlesi-infected red blood cells to human umbilical vein endothelial cells2022

    • 著者名/発表者名
      Chuang Huai、Sakaguchi Miako、Lucky Amuza Byaruhanga、Yamagishi Junya、Katakai Yuko、Kawai Satoru、Kaneko Osamu
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 12 ページ: 14942

    • DOI

      10.1038/s41598-022-19199-0

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Development of an imaging system for visualization of Ebola virus glycoprotein throughout the viral lifecycle2022

    • 著者名/発表者名
      Furuyama Wakako、Sakaguchi Miako、Yamada Kento、Nanbo Asuka
    • 雑誌名

      Frontiers in Microbiology

      巻: 13 ページ: 1026644

    • DOI

      10.3389/fmicb.2022.1026644

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] SICA-mediated cytoadhesion of Plasmodium knowlesi-infected red blood cells to human umbilical vein endothelial cells.2022

    • 著者名/発表者名
      Chuang H, Sakaguchi M, Lucky BA, Yamagishi J, Katakai Y, Kawai S, Kaneko O.
    • 学会等名
      The 20th Awaji International Forum on Infection and Immunity.
    • 国際学会
  • [学会発表] SICA-mediated cytoadhesion of Plasmodium knowlesi-infected red blood cells to human umbilical vein endothelial cells.2022

    • 著者名/発表者名
      Chuang H, Sakaguchi M, Lucky BA, Yamagishi J, Katakai Y, Kawai S, Kaneko O.
    • 学会等名
      The 71st Annual Meeting of American Society of Tropical Medicine and Hygiene.
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi