研究課題/領域番号 |
22K07057
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
相根 義昌 東京農業大学, 生物産業学部, 教授 (00624660)
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研究分担者 |
宮下 慎一郎 東京農業大学, 生物産業学部, 助教 (20883292)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ボツリヌス毒素 / 変異 / 血球凝集素 / ムチン |
研究実績の概要 |
ボツリヌス食中毒を引き起こすボツリヌス神経毒素(BoNT)は、Clostridium botulinumによって産生される。BoNTは、非毒非血球凝集素と血球凝集素(HA)の複合体(HA-33、HA-17およびHA-70から構成される)が会合したProgenitor Toxin Complex(PTC)を形成する。PTCは純粋なBoNTよりも高い経口毒性を示すため、PTCの形成は経口毒性を発揮する上で重要な機能を有するものと推測されている。先に、我々は、ボツリヌスC型菌Yoichi株が産生するPTC(33vPTC)を構成するHA-33は、同じC型菌の参照株が産生するPTC(wtPTC)のそれと比較し、C末端側領域において複数のアミノ酸残基の置換が生じていることを明らかにした。本研究で、我々は33vPTCとwtPTCのマウスへの腹腔内投与による毒性はほぼ同等であるのに対し、33vPTCの経口毒性はwtPTCのそれよりも90倍高いことを見いだした。一方、33vPTCの経口毒性は、ガラクトースを含む糖との混合投与により低下したことから、33vPTCの小腸上皮からの体内への吸収には、ガラクトースを末端に持つ糖鎖が関与している可能性が示された。さらに、33vPTCのムチンに対する結合は、wtPTCのそれよりも顕著に低かった。これらのことから、33vPTCは、そのHA-33のC末端領域のアミノ酸残基の置換により、小腸上皮組織上のムチン層にトラップされることを免れ、経口毒性が上昇していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
HA-33タンパク質に特有の変異を有するC型菌Yoichi株由来のボツリヌス毒素複合体が、同じC型菌の参照株が産生する毒素複合体と比較し、その経口毒性が顕著に上昇することを明らかにした。さらに、その理由の一つとして小腸上皮組織上のムチン層への結合が低下することを実験的に確認したことから、本研究の目的であったHA-33タンパク質の変異と経口毒性との関連性を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
HA-33のアミノ酸置換により、HA-33タンパク質の構造に変化が起こることが推測されているが、その詳細について未解明の部分が残されていることから、今後は、変異を有するHA-33タンパク質内の糖鎖との結合部位の解明、立体構造の変化などを明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定よりも短期間で研究成果が得られたため、論文として発表することを前倒しし、本年度行う予定であった実験の一部を次年度に移行したため。
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