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2022 年度 実施状況報告書

腸球菌の新規高頻度接合伝達性プラスミドの研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K07067
研究機関群馬大学

研究代表者

富田 治芳  群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (70282390)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードバンコマイシン耐性腸球菌 / 多剤耐性菌 / 高頻度接合伝達性プラスミド / pMG1型プラスミド / pELF1型プラスミド
研究実績の概要

① pMG1型プラスミドの解析
今年度はpMG1型高頻度伝達性プラスミドpHTβの高頻度接合伝達の調節因子について解析を進め、以下の成果を得た。
以前に同定した接合凝集領域の転写を正に調整する因子であるtraB遺伝子の変異体の作成、分離を行った。接合凝集遺伝子内にプロモーターレスLacZ遺伝子が転写方向に挿入されたpMG1型プラスミドpHTβ::lacZにtraBの欠失変異を導入したtraB変異プラスミドを構築した。腸球菌宿主内においてlacZの転写活性は減弱したが、クローン化したtraBプラスミドの導入によって活性は完全に相補された。変異誘導性大腸菌宿主でtraBプラスミドに変異を導入し、腸球菌内でlacZの転写活性を相補できない変異プラスミドを得た。この変異プラスミドからtraBを再クローン化し、traBの機能を失った変異体を複数得た。現在、変異体について変異部位の解析を行っている。またRNA-Seq解析によってpHTβの網羅的な転写解析を行い、転写ユニットを同定した。
一方、VanD型耐性遺伝子をコードするpMG1型プラスミドpEF-Dの解析として、実験室内においてpEF-Dが野生型宿主E. faeciumからE. faecalisへ接合伝達可能であること、またバンコマイシン耐性の発現自体は極めて不安定で維持されないことを明らかにした。今年度はこれらの成果を論文報告した。
② pELF1型線状プラスミドの解析
今年度はpELF1型線状プラスミドの複製と伝達に関する遺伝子領域を同定し、分子遺伝学的解析を行うために、E. faeciumを用いた効率的な変異導入システムの構築を行った。また分子遺伝学的な解析および各種解析ツールの構築を行うための適切な宿主E. faecium株を選択することを目的として、宿主候補となる複数の臨床分離E. faecium株の全ゲノム配列を決定した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

pMG1型プラスミドの解析については調節因子の解析として、traBの変異体の分離、作成と解析が順調に進んでいる。またVanD型高度バンコマイシン耐性遺伝子を運ぶ、pMG1型プラスミドpEF-Dの解析結果については論文報告を行うことができた。pELF1型プラスミドの解析については、安定した宿主であるE. faeciumの実験株の候補の選択と準備(全ゲノム解析)、及び効率的な遺伝子変異導入システムの構築を行うことができた。

今後の研究の推進方策

当初の予定通りに、pMG1型プラスミドについての研究を接合伝達領域の転写調節因子及び転写ユニットの詳細な解析を中心に進める。一方、pELF1型の解析については、E. faecium菌を用いての遺伝子解析ツールの構築を進めつつ、プラスミドの複製及び高頻度伝達性について分子遺伝学的な解析を進める予定である。

次年度使用額が生じた理由

当初予定していたpMG1型プラスミドであるpHTβの転写解析及びpELF1プラスミドの全ゲノム解析等が年度末間際となり、一部が年度内での研究費支払いが困難で年度を越えての解析実行となってしまったため。また研究成果発表のための論文投稿費用(論文の受理)が年度を越えてしまったため。研究の進捗自体には大きな支障はなく、おおむね順調に進んでおり、それらは次年度早々に実施し、速やかな予算執行を行う予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] First Isolation of Vancomycin-Resistant Enterococcus faecium Carrying Plasmid-Borne vanD1.2022

    • 著者名/発表者名
      Hisatsune J, Tanimoto K, Kohara T, Myoken Y, Tomita Y, Sugai M.
    • 雑誌名

      Antimicrob Agents Chemother.

      巻: 66 ページ: e0102922

    • DOI

      10.1128/aac.01029-22.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Advances of genetic engineering in streptococci and enterococci.2022

    • 著者名/発表者名
      Kurushima J, Tomita H.
    • 雑誌名

      Microbiol Immunol.

      巻: 66 ページ: 411-417.

    • DOI

      10.1111/1348-0421.13015.

    • 査読あり
  • [図書] NanoporeSequencing, Methods and Protocols, Genomic Epidemiological Analysis of Antimicrobial-Resistant Bacteria with Nanopore Sequencing.2023

    • 著者名/発表者名
      Suzuki M, Hashimoto Y, Hirabayashi A, Yahara K, Yoshida M, Fukano H, Hoshino Y, Shibayama K, Tomita H.
    • 総ページ数
      318
    • 出版者
      SpringerScience+BusinessMedia,LLC,partofSpringerNature.
    • ISBN
      978-1-0716-2995-6

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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