研究課題/領域番号 |
22K07071
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研究機関 | 岐阜薬科大学 |
研究代表者 |
高橋 圭太 岐阜薬科大学, 薬学部, 講師 (50634929)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 乳酸菌 / 粘膜ワクチン / 細菌様粒子 / アジュバント / 腸管出血性大腸菌 / Citrobacter rodentium / DNAワクチン |
研究実績の概要 |
本研究は、ヒトに対する安全性が高いと考えられる「乳酸菌」をベクター/アジュバントとして用いる2種類の粘膜ワクチン系、1)DNAワクチン系、2)乳酸菌由来細菌様粒子(BLP)アジュバントを用いた組換え蛋白ワクチン系、の構築を目指した研究である。2023年度の研究実績の概要は下記の通りである。 (1)DNAワクチン系:前年度までに、真核細胞内でのみEGFPを発現するプラスミドを導入した乳酸菌をマウスに経鼻投与することで、GFP特異的抗体産生の誘導が可能であることを明らかにしてきた。本年度は、in vitro実験にて、乳酸菌が宿主細胞にプラスミドDNAを送達する機序の解明を試みた。各種阻害剤・細胞株を用いた実験から乳酸菌によるプラスミドDNAの送達には、宿主細胞による乳酸菌の貪食が必須であることが明らかとなった。細胞侵入性を持たない乳酸菌が宿主細胞にプラスミドDNAを送達する機序はこれまで不明だったが、本研究で得られた結果はその解明に向けた重要な一歩になると考えられる。 (2) BLPアジュバントを用いた組換え蛋白ワクチン系:ヒトの病原細菌である腸管出血性大腸菌や腸管病原性大腸菌と類似の感染機序をもつマウスの病原細菌Citrobacter rodentium (CR)の感染モデルを用い、BLPアジュバントを用いた組換え蛋白ワクチン系の感染防御効果を証明し論文を発表した(Vaccine, in press)。また、強力なアジュバント効果と高い安全性を併せ持ったBLPを作製可能な乳酸菌種を同定するため、18種類の異なる乳酸菌からBLPを調製し、そのアジュバント効果および安全性を試験し、アジュバントに適した性質を有する乳酸菌種を同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)DNAワクチン系:昨年度までに乳酸菌をベクターとして用いた経鼻DNAワクチン接種により一定の抗原特異的免疫の誘導が可能であることを明らかにしていることから、本年度は免疫誘導メカニズムの解明に焦点を当てて研究を進めた。その結果、研究実績の概要に記した通り、免疫誘導に必要不可欠な乳酸菌から宿主細胞へのプラスミドDNA送達に重要なプロセスを明らかにすることができた。最終年度には、さらに詳細なメカニズムの解明に取り組む必要があるが、おおむね順調に進展していると考えられる。 2)BLPアジュバントを用いた組換え蛋白ワクチン系:腸管感染症モデルを用いて、BLPアジュバント経鼻ワクチン系の有用性を証明できた(論文Revise中)。また、18種類の乳酸菌由来BLPについてアジュバント効果および安全性を指標にスクリーニングを実施し、アジュバントに適した性質を有する乳酸菌種を同定した。現在、アジュバント効果や安全性に影響するファクターの解明に取り組んでいる。以上、本テーマに関してはおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
DNAワクチン系:昨年度までに乳酸菌をベクターとしたDNAワクチンの経鼻接種により一定の抗原特異的免疫の誘導が可能であること、乳酸菌から宿主細胞へのプラスミドの送達が貪食に依存することを明らかにした。本年度は、乳酸菌から宿主細胞へのプラスミド送達過程のさらに詳細な解明に取り組む。 BLPアジュバントを用いた組換え蛋白ワクチン系:昨年度までにBLPアジュバントを用いた組換え蛋白ワクチンの経鼻接種により全身性および粘膜組織において強力な抗原特異的免疫の誘導が可能であることを、腸管細菌感染症モデルなどを用いて明らかにしてきた。本年度は、標的とする病原微生物をインフルエンザウイルス、2型単純ヘルペスウイルス、肺炎球菌に拡大し、それぞれの病原微生物感染症に対するワクチンを構築、その感染防御効果を評価する。また、BLPの由来菌種のスクリーニングで免疫原性や安全性の異なるBLPが得られた。それらの性質を詳細に比較し、アジュバント効果や安全性に影響するファクターの解明に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度に実施予定だった実験の一部を次年度に行うため、それらに関する費用(消耗品購入費、動物購入・飼育費など)を次年度使用額として計上した。
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